自分を信じて続けていれば、評価してくれる人は必ず現れる【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

子役時代に演技が絶賛され、映画『エスター』に主演したことで、子供ながらハリウッド女優としての地位を獲得したイザベル・ファーマン。

若くして成功を収めた彼女の苦悩は、子役時代の評価を拭いきれなかったこと。

それでも自分を信じて諦めることなく、決して派手ではない俳優活動を続け、今作では主役を獲得。

他人からの負の印象を変えるのは困難だけれど、決して不可能ではないということを教えてくれた。

映画「ノーヴィス」
イザベル・ファーマン

アレックス・ダル(イザベル・ファーマン)は、大学進学後に女子ボート部に入部して過酷な練習に励む日々を送っていました。

レギュラーを目指して意気込むアレックスは、チーム内でも少しずつ評価されるようになりますが、同期のジェイミー(エイミー・フォーサイス)は周りから信頼されていて、そんな彼女にライバル心を燃やすのです。

ある日、上級生が怪我をしたことでレギュラーの座がひとつ空き、アレックスはその座を奪うべく必死になって練習したにもかかわらず、ジェイミーの画策によりレギュラーになることを阻止されます。

チームメイトからも疎まれる存在となったアレックスは、ボート競技に対する執着心を隠そうともせず、次第に狂気を帯びるような行動に出るのですが…。

「ノーヴィス」とはスポーツ分野において初心者、もしくは一定のランクに達していない者という意味なのですが、主人公のアレックスは“新人”としてボート部に入部すると、周りが困惑するほど練習に打ち込みます。

そして周りが訝しがるほど自分を追い込むのです。

アレックスはガールフレンドのダニから「あんたの執着は異常だよ」と叱責されますが、彼女は「楽な道ばかり選ぶ人には分からない」と言い返します。

そして「肩の力を抜きなよ」と諭されると「力を抜けるのは一部の人だけ」と自分を厳しく律するのです。

数あるスポーツ映画の中で、ボート競技を描いた物語を地味だと感じる読者もいると思います。

しかしサッカーでも野球でもアメフトでも、個の能力がチームの成功を左右する団体戦とは異なり、究極のチームワークを必要とするボート競技は、他のスポーツに比べて戒律的な調和が求められ、そこにドラマが存在するのです。

アレックスはなぜ周りから奇異な目で見られながらもボート部でのレギュラーに固執するのか? 是非『ノーヴィス』を劇場で体験してみてください。

そして、本作主演のイザベル・ファーマンは、アメリカ・ワシントンD.C.で生まれました。

ロシア系の家系のイザベルの父親は政治家で、母親は全米で有名なジャーナリストというかなり裕福な環境で幼少期を過ごした彼女は、7歳の時にオーディションを経てテレビ出演して、11歳でドラマ「ゴースト〜天国からのささやき」に出演。

その演技が絶賛されて、ヤング・アーティスト賞にノミネートされるのです。

そして世界的に話題となった映画『エスター』に主演したことで、イザベルは子供ながらハリウッド女優としての地位を獲得したのです。

『エスター』は、ある家族に養子として引き取られた少女のエスターが巻き起こす惨劇を描いたホラー・ムービーなのですが、劇中での“ある仕掛け”が世界的に評判を呼び、イザベルの評価も沸点に達しました。

その後は声優活動もしつつ、『ハンガー・ゲーム』、『セル』などに出演して、23歳で『エスター』の前日譚を描いた『エスター ファースト・キル』で再び主役を演じたのです。

若い頃からショウビズの世界で成功したイザベル・ファーマンですが、彼女は成長するにつれ苦悩することになります。

それは『エスター』での子役としての高評価が拭いきれず、『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスや『13日の金曜日』のジェイソンと並ぶ“エスター”というキャラクターが強烈過ぎて、仕事のオファーが増えなかったのです。

それでも彼女は諦めることなく決して派手ではない俳優活動を続け、遂に『ノーヴィス』で成人女性としての主役を獲得します。

一般的にも周りからのマイナスの評価を変えるのは難しいもの。

しかしイザベルのように困難を克服しつつ(彼女は下垂体性機能不全という持病があった)自分を信じて活動を続ければ、評価してくれる人が絶対にあなたの目の前に現れるはず。

他人からの負の印象を変えるのは困難ですが、決して不可能ではないのです。

ノーヴィス

監督・脚本・編集/ローレン・ハダウェイ

出演/イザベル・ファーマン、エイミー・フォーサイス、ディロン 他

公開/11月1日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、シネマート新宿 他

©The Novice, LLC 2021

Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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