ありのままの自分を受け入れよう。大切なのは、自分を愛すること【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】
真の美しさに必要なのは“ありのままの自分を受け入れること”だと語る、齢79歳の女優・ヘレン・ミレン。
同時に、睡眠の重要性やスキンケアの大事さを語り、今もなお第一線で女優活動を続けている彼女の、
“年齢を重ねることができるのは幸運なこと”という言葉から、多くを学べるような気がする。
映画「ホワイトバード はじまりのワンダー」
ヘレン・ミレン
学校でのいじめ行為が理由で退学処分となったジュリアン(ブライス・ガイザー)は、他の高校に転校しましたが、友達も知り合いもいない生活に馴染めずにいました。
そんな中、祖母であるサラ(ヘレン・ミレン)がパリから訪ねてきます。自分の居場所を見失っていたジュリアンに対して、サラは自らの少女時代の壮絶な経験を語りはじめるのです。
全世界で1500万部突破のベストセラー小説シリーズを映画化した『ワンダー 君は太陽』(2018)が興行収入320億円と大ヒットしましたが、同作のアナザーストーリー小説「ホワイトバード」を今回映画化。
前作で主人公のオギーを学校でいじめていたジュリアンのその後を描いた物語です。
物語冒頭、転校先の高校の学食でジュリアンが所在なさげにしていると、真面目そうな女性の生徒がサークル活動の誘いで声をかけます。
しかしジュリアンはその誘いを無下に断ります。すると今度は活発そうな男子生徒から声をかけられます。しかしその生徒は母親からジュリアンと仲良くしてと頼まれて声をかけただけでした。
このオープニングから数分のシーンで、学校におけるカーストとヒエラルキーが端的に分かりやすく描かれています。
ジュリアンの今後を慮り、祖母のサラは自らの過酷だった少女時代を語ります。
【時は1942年、ナチス占領下のフランスでユダヤ人であるサラ(アリエラ・グレイザー)と両親に危険が近づいていました。そしてサラの学校にナチスが押し寄せて、ユダヤ人生徒を連行しようとする最中に、クラスでいじめられていたジュリアン(オーランド・シュワート)と、彼の両親に助けられるのです】
映画『ワンダー 君は太陽』では、“正しいことよりも親切なことを選ぶ”というセリフが出てきますが、本作では“暗い時代には小さな行為に人間らしさが出る”というセリフが出てきます。
状況によって他人に優しくすることが困難な時がありますが、そんな時こそ人はペイフォワード(恩送り)するべきではないのか? そんな問いかけが観客に投げかけられるのです。
カート・ヴォネガットの“愛は負けても親切は勝つ”そして“人生の目的は、隣にいる人に親切にしてあげることだ”という言葉が頭をよぎる本作を、是非劇場で体験してみてください。
そして、本作に出演しているヘレン・ミレンは、ロシア帝国の貴族出身で、革命により亡命を余儀なくされた父親と母親のもと、ロンドンで生まれました。
20歳の頃から本格的に舞台女優としての活動を始め、その後テレビドラマや映画にも出演するようになり、ドラマ「第一容疑者」シリーズでのジェーン役が好評でエミー賞を3回受賞しています。
そして映画では『キャル』と『英国万歳!』でカンヌ国際映画祭の女優賞を受賞して俳優としての確固たる地位を築きました。
そしてヘレン・ミレンのキャリアをもう一段引き上げたのが『クィーン』での演技。彼女はエリザベス2世を演じて世界中の映画賞を総なめに。第64回ゴールデングローブ賞と、第79回アカデミー賞で主演女優賞をダブル受賞するのです。
プライベートでは、1997年に映画監督のテイラー・ハックフォードと結婚して、現在ロサンゼルスで暮らしています。
加齢とともに肉体の衰えや容姿の変化を感じている読者も多いと思います。
しかし、ヘレン・ミレンはインタビューで、“自己受容”の重要性と、真の美しさに必要なのは“ありのままの自分を受け入れること”だと語っています。
そして彼女のエイジングに対する哲学は、“年齢を重ねることができるのは幸運なこと”なのです。
若さが人生の一部なら歳を重ねるのも人生の一部だというヘレン・ミレンは、睡眠の重要性やスキンケアの大事さを語りつつ、大切なのは自分を愛することだといいます。
現在79歳で精力的に女優活動を続けているヘレンの含蓄に富む言葉が胸に刺さります。
ホワイトバード はじまりのワンダー
監督/マーク・フォースター
出演/アリエラ・グレイザー、オーランド・シュワート、ブライス・ガイザー、ジリアン・アンダーソン、ヘレン・ミレン 他
公開/12月6日(金) 全国ロードショー
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Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。