過去を振り向かず前を見て生きることが、幸せを掴む第一歩【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

ディズニーチャンネル「ウェイバリー通りのウィザードたち」で主役3人の内の1人、アレックス・ルッソ役でブレイク。

全米ティーンのカリスマ的存在となったセレーナ・ゴメス。恋人や友人との確執に長く苦しんだ後に掴んだ幸せへの道は、過去を振り向かず前を見て踏み出したこと。つらい時期は時間と新たな出会いが解決してくれるのです。

映画「エミリア・ペレス」
セレーナ・ゴメス

メキシコで弁護士として働いているリタ(ゾーイ・サルダナ)は、麻薬カルテルのボスであるマニタス(カルラ・ソフィア・ガスコン)から、犯罪組織を抜けて誰にも気づかれないように女性として生きたいと打ち明けられます。

リタは逡巡したのちにマニタスの要望を叶える為、医者を探して段取りを組み、性別適合手術を無事成功させます。そしてマニタスは女性となり過去を捨てて姿を消すのです。

それから数年後、イギリスで生活していたリタの前にエミリア・ペレスと名乗る見知らぬ女性が現れます。その女性こそがマニタスだったのです。

クライム(犯罪)映画でコメディ要素も含みつつ、ミュージカルでもある本作は、まさにハイブリットムービーとして多くの観客や批評家から評価され、第77回カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞。カルラ・ソフィア・ガスコン、ゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス、アドリアーナ・パスの4人が女優賞を受賞しました。

そして第97回アカデミー賞では、非英語作品として史上最多となる12部門13ノミネートとなり世界中の映画界に旋風を巻き起こしているのですが、特に注目されているのが主演のカルラ・ソフィア・ガスコンです。

彼女は生まれた時に割り当てられた性別と自分が認識する性別(ジェンダーアイデンティティ)が一致しないトランスジェンダー俳優としてカンヌで初の女優賞を獲得し、アカデミー賞主演女優賞でも初ノミネートされたのです。

犯罪集団であるカルテルのボスだったマニタスはエミリアという名の女性に生まれ変わり、それまでの悪行を償うかのように年間数万人とも言われているメキシコでの行方不明者を捜索する団体を運営します。

彼女はメディアにも登場して寄付を募り、多くのメキシコ市民から頼られるようになります。

善行に生き甲斐を感じるようになったエミリアは「初めて自分を好きになれた」とリタに語りますが、過去の犯罪が全て帳消しになるわけではなく、因果応報として次第にトラブルに巻き込まれていくのです。

誰しもがどんな些細な過ちでも無かったことには出来ませんが、問われるのは現在から未来に向けての誠実な発言と愚直な行動です。人生の示唆に富む本作を是非劇場で体験してみてください。

そして、本作の主人公であるマニタスの妻を演じたセレーナ・ゴメスは、メキシコ人の父親とイタリア系アメリカ人の母親のもと、テキサス州で生まれました。小劇場で女優をしていた母親の影響からショウビズに興味を持ったセレーナは、7歳の頃から子役として活動を始め、テレビドラマ「バーニー&フレンズ」でデビュー。

そして映画『スパイキッズ3-D』出演後、ディズニーチャンネルに見出されて「スイート・ライフ」、「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」、「ウェイバリー通りのウィザードたち」などに出演して一気に知名度を上げます。

その後も数多くの映画に出演しつつ歌手やモデルの仕事も始め、プライベートではジャスティン・ビーバーとの交際が報道され仕事もプライベートも順調のように世間から思われていました。

しかし彼女はジャスティンとの不安定な交際中に健康上の理由から活動休止するなど身体的な問題を抱え、精神的にも辛かった時にジャスティンと完全に破局。

その後、友人たちとも疎遠になるなどかなりきつい時期を過ごしました。最愛の男性や友人との確執という悩みを長年抱えていたセレーナですが、去年音楽プロデューサーのベニー・ブランコとの婚約を笑顔で発表しました。誰しもが恋人や友人との別れを引きずり精神的に辛い時期を過ごすことがあります。

しかし往々にして時と出会いが問題を解決してくれるはず。セレーナのように過去を振り向かず前を見て生きることが幸せを掴む第一歩なのです。

エミリア・ペレス

監督・脚本/ジャック・オーディアール
出演/ゾーイ・サルダナ、カルラ・ソフィア・ガスコン、セレーナ・ゴメス、アドリアーナ・パス、エドガー・ラミレス、マーク・イヴァニール 他

公開/3月28日(金) 新宿ピカデリー 他 全国ロードショー

©2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHÉ FILMS - FRANCE 2 CINÉMACOPYRIGHT PHOTO : ©Shanna Besson

Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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