
他人からの評価は取捨選択して、前向きに生きることが大事【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】
世界的大ヒット映画『ゴースト/ニューヨークの幻』の主演女優・デミ・ムーア。
多くのヒット作に出演しながらも、プライベートでは結婚、離婚を繰り返す波瀾万丈な人生を歩んできた彼女。業界内から批判的な声も聞こえる中、仕事への真摯な姿勢は、いつか誰かが評価をしてくれるはず。
現在、62歳にして、主演作品がアカデミー賞にノミネート。常に前向きに女優業を邁進してきた彼女に学びたい。
映画「サブスタンス」
デミ・ムーア

フィットネス番組に出演していたエリザベス(デミ・ムーア)は、歳を重ねて50歳となり、年齢と容姿の衰えから番組を降板させられてしまいます。
追い詰められたエリザベスは、とある広告で“サブスタンス”という再生医療の存在を知り、若返りを求めた彼女はその禁断の薬に手を出してしまいます。
すると自身の背中から若くて美しいスー(マーガレット・クアリー)という女性が現れたのです。エリザベスの上位互換であるスーは、番組スタッフや視聴者から受け入れられ一躍スターとなります。
エリザベスとスーは精神をシェアしつつ一週間毎に入れ替わるというルールの元に共存していましたが、次第にスーはその決まりごとを破るようになり…。
“怪作”とは常識にとらわれない怪しげで奇抜な作品のことですが、本作は年間を通してトップクラスの怪作であることは間違いなく、特に物語後半のシークエンスは多くの観客の想像を超えるであろうエンタメに昇華しています。
映画界だけでなくショウビズの世界では若さ(ルックス)に価値があることは周知ですが、当然若さだけが全てではなく、熟練した才能や経験も評価されるべきであり、その辺りのバランスが欠けているのが現状です。
そんな世界へのカウンターであり皮肉が描かれているのがこの『サブスタンス』という作品であり、ベテラン女優であるデミ・ムーアのリアルとフィクションが交差するのです。
劇中、テレビ収録が行われているスタジオへの廊下の模様を見ていると、映画『シャイニング』のオーバールックホテルのカーペットを思い出しました。
禁断の若さに取り憑かれたエリザベスと、オーバールックホテルという闇に飲み込まれたジャックの人生がシンクロするのです。
アカデミー賞では作品賞含む計5部門にノミネートされ(メイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞)ゴールデングローブ賞の主演女優賞(ミュージカル/コメディ部門)も受賞した本作を是非劇場で体験してみてください。
そして、アメリカ・ニューメキシコ州で生まれたデミ・ムーアは、幼い頃から女優に興味を持ち、16歳で高校を中退してモデルとして活動を始めます。
そしてテレビドラマにも出演するようになるのですが、私生活ではドラッグ依存となり、映画『セント・エルモス・ファイアー』の撮影時には、現場にハイになって現れたデミ・ムーアに対して監督のジョエル・シュマッカーが激怒したという逸話も。
治療期間を経てクリーンになったデミは『俺たちは天使じゃない』に出演した後に、世界的大ヒット映画『ゴースト/ニューヨークの幻』主演で一躍Aクラスセレブとして認知されます。
そして『ア・フュー・グッドメン』、『幸福の条件』、『ディスクロージャー』、『G・I・ジェーン』、『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』などに出演します。
一方プライベートでは18歳の時にミュージシャンと結婚しますが22歳で離婚。そしてエミリオ・エステベスとの婚約を発表しますが3年後に破棄。
その後ブルース・ウィルスと結婚しますが13年後に離婚して、16歳年下のアシュトン・カッチャーと結婚して後に離婚するという波瀾万丈な人生を歩むのです。
デミ・ムーアは『サブスタンス』でゴールデン・グローブ賞・主演女優賞を受賞した際のスピーチで「30年前、あるプロデューサーからお前はポップコーン女優だと言われたことがあります。
私は成功する映画や大金を稼ぐ映画に出演できるかもしれないけど、女優として認められることはないと思っていました…」と語りました。
どんな仕事現場でも文句や嫌味を言ってくる人はいます。ただそんな人物の言葉は鵜呑みにせず真面目に仕事に取り組めば、いつか誰かが評価してくれるはず。
他人からの評価は取捨選択して前向きに生きることが大事なのです。

サブスタンス
監督・脚本/コラリー・ファルジャ
出演/デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド 他
公開/5月16日(金) 全国ロードショー
©2024 UNIVERSAL STUDIOS

Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。