
とても近い距離に、人生を共にする相手がいるのかも【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】
若い頃から舞台の世界で才能を発揮し、オーストラリア国立演劇学院を卒業した後、『スリーピング ビューティー/禁断の悦び』で映画デビューを果たした女優サラ・スヌーク。
長年に渡り仲の良い友人だった、俳優のデイブ・ローソンとの電撃結婚をした彼女に、「人生を共にする最愛の人は、意外と近くにいるのかも…」と、自分の交友関係に意識を向けるきっかけをもらえるかもしれない。
映画「かたつむりのメモワール」
サラ・スヌーク
舞台は1970年代のオーストラリア。主人公グレースは、ユーモア溢れる父親と頼りになる双子の弟ギルバートと3人で幸せに暮らしていました。
しかし、父親が亡くなってしまいグレースとギルバートは別々の里親の元で暮らすことになります。
2人はお互い手紙で励まし合いながら、いつの日か再会することを強く望んでいましたが、環境がそれを許しませんでした。気弱なグレースは友達もできず寂しい生活を送っていましたが、心の拠り所としてカタツムリを集めることで気を紛らわしていました。
そんな彼女は、近所に住むピンキーという天真爛漫で明るいお婆さんと出逢い友人となるのですが…。
アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞を受賞し、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞などにノミネートするなど、世界各国の映画賞で評価を受けている本作は、アダム・エリオット監督がCGやAIに頼らず手作業にこだわり、およそ13万5千のカットをひとコマずつ8年の歳月をかけたクレイアニメーションです。
生成AIやChat GPTが巷を賑わしている昨今、スーパーデジタルの真逆であるコマ撮りアニメの魅力は決して色褪せることはありません。
レトロだからこそ伝わる物語もありますし、若い世代の方からすれば寧ろ新しいと感じる手法かもしれません。
グレースは他人とコミュニケーションを取るのが苦手で、学校でもいじめられて友達もできず、双子のギルバートと離れて暮らすようになると、毎日カタツムリとだけ会話する日々を過ごします。
「カタツムリは友達。逃げないし傷つけない…」グレースは人を傷つけたくないし、自分も傷つきたくないのです。そして、カタツムリは“殻”に閉じこもったグレース本人のメタファー(暗喩)でもあるのです。
ピンキーという明るくて不思議なお婆さんと出会うことで、グレースは少しずつ変化していきます。ピンキーは「痛みもあるけど、それが人生よ」とグレースを励まします。
ピンキーと出会ったことで、グレースは少しずつ前向きに生きるようになるのですが、彼女の人生は一筋縄ではいきません。本作は単純な少女の成長物語ではないのです。
人は時に落ち込み再起できないほど打ちのめされることがあります。ただピンキーは「人生は後ろ向きにしか理解できない。でも前を向いて生きるの」と、グレースそして観客に訴えるのです。
人生の記憶に刻まれるであろうアニメーションの傑作を、是非劇場で体験してみてください。
主人公グレースの声を担当したサラ・スヌークは、オーストラリア・アデレードで生まれました。
若い頃から舞台の世界で才能を発揮して、オーストラリア国立演劇学院を卒業した後に『スリーピング ビューティー/禁断の悦び』で映画デビューを果たし、その後ホラー映画『ジェサベル』で主演を務め、SF映画『プリデスティネーション』でイーサン・ホークと共演し、その存在が映画ファンに知れ渡りました。
そして、アメリカに渡り『スティーブ・ジョブズ』、『ガラスの城の約束』、『私というパズル』などの映画に参加しつつ、テレビドラマ「メディア王 〜華麗なる一族〜」出演で認知を高めるのです。
サラ・スヌークはコメディアンで俳優のデイブ・ローソンと2021年に電撃結婚するのですが、実は2人は長年に渡る仲の良い友人関係であり、完全なるプラトニックな関係でしたが、コロナ・パンデミックの際にお互いのことを意識し始めて、最愛の人が近くにいたことに気づき、ロマンティック・ラヴに発展してゴールインしました。
パートナーを欲し早く結婚したいと願いながらも、とにかく出会いがないと憂いている読者の方も多いと思います。
しかし、実は視野を広く持てば、サラ・スヌークのように自分のとても近い距離に人生を共にする相手がいるかもしれないのです。

かたつむりのメモワール
監督/アダム・エリオット
出演/サラ・スヌーク、ジャッキー・ウィーバー、コディ・スミット=マクフィー、ドミニク・ピノン、エリック・バナ、ニック・ケイヴ 他
公開/6月27日(金) 全国ロードショー
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Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。