
自分の力を信じ続けてくれる人。その存在が大きな力となる。【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】
ニューヨークの名門俳優養成学校ネイバーフッド・プレイハウスや、ロンドンの王立演劇学校で芝居を学び、ドラマ「ザ・ホワイトハウス」のクレッグ報道官役でエミー賞を受賞したアリソン・ジャネイ。
長い下積み時代も、自分の力を信じ続けてくれる人からの励ましが大きな力となった彼女のように挫けそうな時でも、「誰かが自分を認めてくれているはず」という意識を持つことが成功への道かもしれない。
映画「ローズ家 〜崖っぷちの夫婦〜」
アリソン・ジャネイ
建築家のテオ(ベネディクト・カンバーバッチ)と料理家のアイヴィ(オリヴィア・コールマン)は、愛する子どもたちと仲睦まじく生活していました。
しかしテオが仕事でミスを犯したことをきっかけに、2人の関係は大きく変化します。心の奥底に秘めていた不満が募り、最初は嫌味を言い合う程度だった応酬が次第に口論、罵り合い、つかみ合いに発展して、最終的には銃まで持ち出す事態に。
一度は愛を誓い合った夫婦でありながら互いに一歩も引かず、あらゆる手段で攻撃し合うことになった2人は、熾烈な夫婦ゲンカを繰り広げるのですが…。
1990年に日本公開された『ローズ家の戦争』(出演 マイケル・ダグラス&キャスリーン・ターナー)のリメイク作品である本作の最大のポイントは、現代版としてアップデートされた物語と、イギリス出身の二大名優の共演です。
ベネディクト・カンバーバッチはドラマ「シャーロック」のホームズ役で世界的に有名となり、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』ではオスカーノミニーとなった名優。
そしてオリヴィア・コールマンはアカデミー賞で三度ノミネートされ『女王陛下のお気に入り』でオスカーを受賞。この演技巧者2人の圧倒的な夫婦喧嘩に身震いしつつ、イギリスからアメリカへ移り住んだローズ夫妻が文化の違いに戸惑うシークエンスに爆笑しました。
テオは順風満帆だった仕事でミスを犯して失業してしまいます。一方セミリタイアしていたアイヴィは、開業したレストランが有名料理評論家のレビュー記事によって繁盛します。
どの国の夫婦でも長年連れ添えばその関係性やパワーバランスは変化しますし、意見の衝突も必ず起こります。「愛が戦争になる時、すべては対等」というキャッチコピーに、この作品の深いテーマが込められているのです。オリジナル作品へのオマージュシーンも満載の『ローズ家 〜崖っぷちの夫婦〜』をぜひ劇場で体験してみてください。
そして、本作に出演しているアリソン・ジャネイは、アメリカ・オハイオ州で生まれました。彼女は地元の大学を卒業後、ニューヨークの名門俳優養成学校ネイバーフッド・プレイハウスや、ロンドンの王立演劇学校で芝居を学びます。
そしてドラマ「ザ・ホワイトハウス」のクレッグ報道官役で世間の注目を浴びてエミー賞を受賞しました。
アリソンは、ドラマ・舞台・映画と精力的に女優活動に勤しみ、『めぐりあう時間たち』『JUNO/ジュノ』『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』などの注目度が高いオスカー候補作品に続々と出演します。彼女は正統派な役を演じられる女優という評価と同時に、コメディエンヌとしての才能も認められました。
そしてフィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングの伝記映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で、トーニャの母親ラヴォナを演じて見事アカデミー賞助演女優賞を受賞するのです。
アリソンは小規模な舞台やドラマには出演していましたが、ブロードウェイデビューが37歳で、自分の存在を世間に知らしめた『ザ・ホワイトハウス』出演は40歳なので、女優としては遅咲きと言えます。
しかし彼女は下積み時代も腐らず演じることに邁進しました。その理由のひとつが、大学時代に自分を見出してくれたポール・ニューマンと彼の妻であるジョアン・ウッドワードの存在です。この二人がアリソンの才能を認め、励まし続けたことで彼女は女優としての自我が保てたのです。
困難な目標を達成しようとすれば必ず壁にぶつかりますが、そんな時こそ自分の力を信じ続けている人の存在が大きな力となります。挫けそうな時でも、誰かが貴方を認めてくれているはずなのです。

ローズ家 〜崖っぷちの夫婦〜
監督/ジェイ・ローチ
脚本/トニー・マクナマラ
出演/オリヴィア・コールマン、ベネディクト・カンバーバッチ、アンディ・サムバーグ、ケイト・マッキノン、アリソン・ジャネイ 他
公開/10月24日(金) TOHOシネマズ 日本橋、新宿ピカデリー 他
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Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

