誰かのためのアクションが結果、自分の成功に。【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

ノルウェー、アメリカ、イタリアと、世界の作品で活躍する国際は女優レナーテ・レインスヴェ。

「監督のビジョンのために尽くしたい」と表明する彼女の俳優哲学から学びたいのは、自分の存在をアピールしたり、主張を貫き通すことより、誰かのためにアクションすること。

その結果として、自分の成功に繋がることがあるのかもしれない。

映画「バックルームズ」
レナーテ・レインスヴェ

家具販売員であるクラーク(キウェテル・イジョフォー)は、店のショールームの地下に「異空間への入り口」を発見します。

その未知数な裏の世界に興味を示したクラークは迷路のような空間を探索すると、そこには無数の家具や衣服が放置されていて、どこからともなくアナウンスが聞こえてきますが呼びかけても応答はありませんでした。

彼はセラピストのメアリー(レナーテ・レインスヴェ)にこの異様な空間について説明しますが信じてもらえず、その存在を証明することを誓い仲間たちと記録用のビデオカメラを手に再び異空間へ足を踏み入れるのですが…。

最近映画界で注目されている若手監督のカリー・バーカー(オブセッション 災愛)ダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟(ブリング・ハー・バック)デヴィッド・F・サンドバーグ(シャザム!)そして本作の監督であるケイン・パーソンズには共通点があります。

それは全員がYouTuber出身という点。

昔のように映画制作現場の助監督として経験を積んで監督になるという道以外にも、現在では監督になる手段が確実に増えています。しかもケイン・パーソンズは20歳で映画長編デビューした上で、全米興収1位の作品を生み出した最年少監督となりました。

最近のホラー映画では「リミナルスペース」という設定が静かなブームとなっています。(最近日本でヒットした二宮和也さん主演の『8番出口』など)このリミナルスペースというのは境界空間という意味で、例えば本来なら人がいるはずの場所(例えば閉店後のショッピングモールや近所の神社や学校の放課後など)に誰もいないという状況が、そこはかとない恐怖を演出します。

本作でも誰もいない地下のオフィスというリミナルスペースが観客に独自の不気味な印象を与えているのです。

ネットで拡散される都市伝説や怪談の総称を若い世代は「クリーピーパスタ」と呼びますが「バックルームズ」はまさにネットネイティブを引き寄せる時代を反映したクリーピーパスタムービーです。

ホラー映画にありがちな突然の大きな音や奇抜な映像で観客を煽る「ジャンプスケア」とは対極を成す、人間の心理に内在する実存的な恐怖を描いた本作を是非劇場で体験してみてください。

本作でセラピストを演じた、ノルウェー生まれのレナーテ・レインスヴェ。オスロ国立芸術大学で演技を学び、24歳の時にヨアキム・トリアー監督の『オスロ、8月31日』で映画デビューを果たします。

そして数々の舞台やテレビドラマに出演した後に、コメディ映画『わたしは最悪。』で主演となり、第74回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞しました。

その後レナーテはノルウェー国内作品だけでなく、アメリカ映画『顔を捨てた男』やイタリア映画『アナザー・エンド』などに参加して世界的に知られるようになります。

そして彼女をセレブリティに押し上げた映画が『センチメンタル・バリュー』で、この作品は第98回アカデミー賞で9部門にノミネートされ国際長編映画賞を受賞しました。

レナーテはインタビューで女優としての哲学を語っていますが、彼女は映画でキャラクターを演じる際には、自分のためではなく監督のビジョンのために尽くしたいと表明しています。

俳優は時として利己主義であり、その存在を多くの映画関係者や観客にアピールするエゴイズムを持ち合わせていると思いますが、彼女の最優先事項は監督の構想に寄り添うことなのです。

誰しもが自分の利益を追求して思考・行動しがちですが、自分の主張を貫き通すより、レナーテのように敬愛する誰かのためにアクションすることが結果自分の成功に繋がることもあるのかもしれません。

バックルームズ

監督/ケイン・パーソンズ 
脚本/ウィル・スディーク、ケイン・パーソンズ
出演/キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット 他 
公開/9月4日(金) 全国ロードショー

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Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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