“今までやらなかったことをやってみる”が『祝山』での新しい一面に繋がった【石川恋】

日本古来の呪術や民俗学に精通する物書き・加門七海が、自身の実体験をもとに書き上げた「祝山」を上梓したのは2007年のこと。実に20年近くの時を経て、原題そのままに映画化された作品で、ストーリーの鍵を握る重要人物・矢口朝子を演じた石川恋さんにお話を伺った。

─── 本作出演のお話をいただいたときの気持ちを聞かせてください。

私のパブリックイメージとは共通点がないであろう「矢口」という役を、私に任せようとしてくださったことにとても驚いたと同時に、とてもうれしかったです。

難しい役だとは想像できましたが、だからこそ、新しい自分を見てもらえるチャンスですし、映画館の大きなスクリーンで作品を観ていただけるのは役者冥利に尽きることなので、絶対に挑戦したいと思いました。

─── 台本を読み進めていくことに怖さは感じませんでしたか?

人知の及ばない存在に関わったことで、登場人物たちの理性が失われていく恐怖や気持ち悪さみたいなものはありました。

矢口も、自分を侵食していく「何か」から逃れようとするけれどそれが叶わず、みるまに「生きることに対する執着心」が失われていきますが、演じるうえでは、その過程において、「思考する」ということができなくなっていくことを意識しました。

「考える」ということは、人間だからできることですが、自我を失うにつれてそれができなくなっていく矢口としてカメラの前に立つ時間は、思考できない状態に身を委ねているほうが楽なような感覚がありました。

─── 主人公・鹿角役の橋本愛さんが、「矢口のキャラクターが鮮烈で、演じながら、彼女の姿が本当なのかわからなくなった」とコメントされていますが、石川さんの目には鹿角はどう映っていましたか?

鹿角はすごくしっかりこの世界に立っている存在です。だからこそ、矢口はその対極にあるような、「何を考えているのかわからない人物」として存在しないといけないと考えました。

でも、カットがかかると全然そんな関係ではなくて、真っ暗闇のなかでのシーンを無事に撮り終えて、明るいところでようやくお互いの顔を見たときには、愛ちゃんは血糊だらけ、私は泥だらけで、「やばいよね!」って笑い合ったこともあります。

作品のなかでは、鹿角と矢口は心がつながらない存在ですけど、こんなふうに笑い合える本当の友だちになれる可能性もあったのかな? と想像させられました。

─── ハードな撮影が続くと特にセルフケアが大事になるかと思いますが、美容や健康に関して気を付けていることはありますか?

いっぱいあるので、そういうことはどんどん聞いてほしいです(笑)。

私はもともと体力がなくて、たくさん寝ないと身体が持たないのがコンプレックスで、「この体質をどうにかしないと俳優業を続けられない」という危機感を持っていました。

その改善のために、どんなに帰宅が遅くても、エプソムソルトを大量に入れたお風呂で身体をほぐしたり、ストレッチを欠かさないことや、睡眠環境を整えるために寝具を買い替えたり、漢方やビタミンの摂取も習慣づけました。

その結果、以前は10時間以上寝ないと回復できないと思っていたものが、今では6時間半の睡眠でも1日元気に動けています。すごい進歩だと自分でも思いますし、人生得していると思えてすごくうれしいんです。

─── 努力でそこまで変わるとは!

体質改善のために動いたのと同じように、20代後半頃、キャリアに関して悩んでいた時期は、「今までやらなかったことを片っ端からやっていこう」と決めて、とにかく動きました。

オーディションを含め、演劇などにも幅広くチャレンジしましたし、オフの期間にはワークショップ参加をはじめ、キャリアに活かせそうなものにはすべて手を出しました。

動けば動くほど多くの人に出会えましたし、そうやってご縁がつながっていった結果、今回の作品でも、新しい一面を見せられる役を任せていただくことができたので、ぜひ多くの人にスクリーンで楽しんでいただきたいです。

『祝山』

原作/加門七海『祝山』(光文社文庫刊)
監督・脚本/武田真悟
出演/橋本愛、石川恋、久保田紗友、草川拓弥、松浦祐也、利重剛 他
公開/6月12日(金)新宿ピカデリー 他

©2026映画「祝山」製作委員会

石川恋

1993年7月18日生まれ。19歳のときにスカウトされ芸能界入り。2013年「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」のカバーモデルを務め話題に。2017年NTV「東京タラレバ娘」で連続ドラマ初レギュラー出演を果たし、その後、小学館「CanCam」の専属モデルとして、女優とモデルを両立。近年の出演作は、映画『本を綴る』、『黄金泥棒』、ドラマでは、「ゲームチェンジ」(BS-TBS)、「ディープリベンジ -顔を捨てた家政婦-」(U-NEXT)ほか、舞台、バラエティ、CM、ラインウェイモデルとして、幅広く活躍中。

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