自分の人生の中でも濃密な時間だった。　1番大切な人と出会わなかった世界線を描く”知らないカノジョ”【milet】

「1番大切な人と出会わなかったら…」という“もしも”を描いたファンタジック・ラブストーリー『知らないカノジョ』が公開される。

ある日突然、妻と出会っていなかった世界線で生きることになった夫が、困惑しながらも人生の全てを取り戻すために奔走する姿を描いた物語だ。

映画初出演でヒロインの前園ミナミ役を演じたシンガーソングライターmiletさんにお話を伺いました。

─── 本作が映画初出演となるmiletさん。出演オファーが来たときの気持ちを伺うと「夢にも思ってなかった！」と話し始めてくれた。

これまで映画の主題歌を担当させていただくことはありましたが、演じる側になるなんて想像もしていなくて。

そもそも私にお芝居ができるのだろうかと不安でしたが、三木監督はじめ、主演の中島健人さんやキャストのみなさんのお力を借りてなんとか演じきることができました。

─── 演じたミナミについて伺うと。

“大切な人のために夢を諦めたミナミ”と“シンガーソングライターとして活躍するミナミ”、どちらにも共感できる部分がたくさんありましたが、やはりシンガーソングライターとして悩むミナミのシーンは自分と重なる部分が大きかったです。

私もミナミもひとりじゃ何もできなくて、周囲の人たちのサポートのおかげで舞台に立たせてもらっている。でもその裏で一人で悩みを抱えてしまったり…。

初挑戦となる役が共感できる部分が多い役だったのは心強かったです。監督からも“無理に演じずmiletのままでいい”と言っていただけたのにも救われました。

─── 共演の中島健人さんについて伺うと。

歌番組で共演したことがあるくらいで、ちゃんとお話しをしたことはなかったんです。でもきっと真面目な方なんだろうなというイメージを持っていたのですが、実際お会いしたらその通りでした（笑）。

とてもまっすぐな方ですけど、どこか抜けていてお茶目でキュートという感じが、劇中のリクくんのまんま！

最初は自分のお芝居にまったく手応えを感じられなかったのですが、リクくんと掛け合いのシーンを重ねていくうちにグルーヴが出てきたというか、波長が合う感じが掴めてきて。

リクくんのセリフの乗った感情を私の中でちゃんと受け取めて、その波に乗って自分の想いを返せたときは“あ、こういうことなのかも！”と実感できました。

─── この作品のために書き下ろした主題歌「I still」が披露される劇中のライブシーンも大きな見どころのひとつ。

台本を読んで１番最初にできたのがこの曲で、私の作品に対する素直な気持ちを歌にしました。

実はあのシーンは実際の私のライブ中にも撮影したんです。だから観にきてくださったファンの方達の前で「前園ミナミです」と登場するシーンはちょっと恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちでした。

しかもそのシーンがクランクインだったので、これで大丈夫なんだろうかと不安だったのですが、完成した作品を観たら舞台に立っているのは“milet”ではなく“前園ミナミ”だったので安心しました」

─── 「もし、シンガーソングライターになっていなかったら？」と質問すると「パティシエ！」とのお答えが。

スイーツパティシエを目指していたというか、夢見てた時期がありました。細かい作業も好きですし、昔から人に何かを届ける仕事をしたいと思っていたのだと思います。

もし今、何もやりたいことや夢がないという人がいたら、自分の好きなこと、楽しいと思えることを思い浮かべてほしいです。

私は音楽が好きで、歌っているときが本当に幸せで。自分の人生、歌に賭けてみたいと思ったんです。

もしダメだったら？ そんなこと考えませんでした（笑）。

自分ってかなりギャンブルな生き方をしているかもと思うのですが、自分が決めた道ならきっとそこから道は広がっていくと思いますし、突き進んでほしいなと思います。

─── 「でも挫折もたくさんした」とmiletさん。

諦めかけたことや、悩んで立ち上がれない時期もありました。

そのとき、昔吹いていたフルートを吹いてみたんです。古い楽譜を引っ張り出して吹いていると、当時の思い出や感覚が蘇ってきて“やっぱり音楽が好き！”って初心に戻してくれた。自分はやっぱりこの道に進みたいんだって自分の思い出が背中を押してくれた感覚でした。

なので、挫折しかけたときは思い出の場所に行ってみたり、大切なものに立ち返る時間も必要だと思います。

あとはとにかく寝る。心が復活するまでの充電時間だと思って一人の時間を過ごすのも大事だと思います。