
『クレヨンしんちゃん』は私の中で「正義」そのもの。【伊藤沙莉】
人気アニメ『クレヨンしんちゃん』の劇場版最新作『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』。
シリーズ33作目となる本作は、妖怪の国に迷い込んだ野原家が奇々怪々な世界で大冒険を繰り広げる物語。その妖怪の国で出会う、九尾の狐の妖怪「やこ」としてゲスト声優を務める伊藤沙莉さんにお話を伺いました。
─── オファーをいただいたとき、「やっと来たー‼」と喜びを爆発させたという伊藤さん。『クレヨンしんちゃん』へのゲスト出演は、芸能生活23年目にしてようやく辿り着いた幸福の地だと話す。
マネージャーさんは、いつも「こういうお話が来ていますが、やりますか?」と聞いてくださるんですが、「やらないって言うと思ってるの⁉」と、即答でした。
本当に夢にまでみていたお仕事だったので、兄に先を越されたときはほんとうに悔しくて(笑)
─── 『クレヨンしんちゃん』の魅力を伺うと「人間にとって大切な温かいものがすごく凝縮されているところ」と即答が。
単純に爆笑できる面白さも大好きなのですが、その中にしんちゃんのかっこいい瞬間が散りばめられてるんです。
でも、ふとした瞬間に思うんです。「しんちゃんってまだ5歳だよね…?」って。そうすると一気に涙が止まらなくなってしまうんです。
5歳の子どもから与えられる勇気や陽気さ。物事を面白く乗り越えていく力だったり、家族の絆もそう。忘れてはいけない温かいものがぎっしりと詰まっています。
特に映画はそれが強く出ていると思いますし、テレビシリーズは、日常の話からホラーまでいろんな世界を見せてくれる。それに何より、大人でも何も考えずにお腹を抱えて笑えるアニメって、そんなにないと思うんですよね。
ひとつの作品で笑ったり泣いたり、感情を揺さぶってくる作品は私の中で「正義」なので、まさに『クレヨンしんちゃん』は私にとってそんな存在です。

─── 本作で伊藤さんが演じるのは、“ある秘密”を抱える九尾の狐の妖怪「やこ」。妖怪たちから慕われるお姉さん的存在だ。
見た目はとてもかわいらしい女の子ですが、500歳の妖怪なので、大人っぽくなりすぎても違うし、可愛くなりすぎても違う。どっちに合わせて役作りをしたらいいのか悩みました。そもそも私は可愛い声が出るタイプでもないですし(笑)。
アフレコ当日は本当に冷や汗が出るほど緊張したのですが、現場で監督が「どちらに寄せるとか、そういうことは考えなくていい。そのどちらも垣間見える感じがやこらしい」とおっしゃってくれて。その言葉ですごく楽になりました。
─── 「しんちゃんたちとの掛け合いの中で、自然に生まれるものを信じよう」と挑んだアフレコ。実際、野原家の一員になった感動で、アフレコ中はずっと泣きそうだったとか。
私が声入れするときには、すでに野原家の声が入っていて。普通に会話しているみたいな感覚に感動して鳥肌が立ちました。あと、普通に面白すぎるんです。つい見入ってしまって、セリフを忘れることも何度か(笑)。とっても幸せな時間でした。
─── 本作は人間が立ち入ることを禁じられた妖怪の国に入り込んでしまった野原家と妖怪たちの大冒険を描く物語。“おしりだま”を取られて妖怪の姿になってしまったひろしとみさえ。翌日の子の刻までに取り戻せなければ、人間だった頃の記憶を失ってしまうという絶望的な状況の中、しんのすけたちは元の人間界へ無事に戻れるのか…? と、ストーリーは展開していく。そこで伊藤さんに「絶対忘れたくない記憶・景色」を教えてもらうと。
やっぱり家族です。家族みんなで一番長い時間を過ごした部屋、その場所で過ごした時間や日常は、ずっと覚えていたいなと思います。
学校から帰ってきて、ご飯を待っている時間とか。家族全員で食卓について、ご飯を食べながら話していた時間とか。もう戻れない大切な時間だからこそ、ずっと鮮度高く覚えていたいです。

─── 数々のテレビドラマや映画、CM。そして念願の『クレヨンしんちゃん』へのゲスト出演と、着実に夢を叶えている印象の伊藤さん。次に、やりたいことを伺うと「旅行!」と即答が。
旅番組とか大げさなことではなく、ゆるーい紀行ブログとか作りたいです(笑)。今一番気になっているのはクアラルンプール。景色も綺麗ですし、ご飯も美味しそう。お休みが取れたら行きたいです。
─── 最後にやりたいことが見つからなかったり、うまくいかずにもがいている人へのアドバイスをお願いすると。
今はそういう時期なんだと思います。無理に自分を奮い立たせようとしないでいいと思うんです。落ちてるときは低空飛行でも飛んでさえいればいい。そうしたらいつか浮上しますし、どこかへ辿り着くから。 止まらなければそれでいいんです。

『映画クレヨンしんちゃん
奇々怪々!オラの妖怪バケ〜ション』
原作/臼井儀人
監督/渡辺正樹
脚本/中村能子
声の出演/小林由美子、ならはしみき、森川智之、
こおろぎさとみ、伊藤沙莉、マユリカ 他
公開/7月31日(金)全国ロードショー
Ⓒ臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ ADK 2026
伊藤沙莉
1994年5月4日生まれ。千葉県出身。生まれ持った芝居のセンスと確かな演技力でシリアスな役からコメディまで幅広い役柄をこなす実力派として、ドラマや映画、舞台、CMなどで活躍。近年の主な出演作に、TVドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」、NHK 連続テレビ小説「虎に翼」、Netflix配信ドラマ「地獄に堕ちるわよ」、映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、『風のマジム』、『爆弾』など多数。2027年には劇場版『虎に翼』の公開を控えている。

