
もう、自分の声を後回しにしない。書く瞑想「ジャーナリング」入門
Poco’ce編集部が月曜8時にお届けする連載、【さあ、今週もわたしのために。】
「もう、自分の声を後回しにしない。」というフレーズに、ついこの記事を開いてしまった皆さん。最近、こんな風に感じていませんか?
- なんかモヤモヤしている
- 何に疲れているのか、うまく説明できない
- 自分の気持ちや、どうしたいのかがわからない
仕事に家事、将来のためにやらなければならないこと、プライベートの付き合い、スマートフォンから鳴り響くSNSやアプリの通知音……。
誰とも比べず、自分を大切にして生きようと思っても、いつの間にか「誰かからの期待」や「通知」に応える日々に戻ってしまう。
そんな人にこそぜひ試していただきたいのが、「書く瞑想」とも呼ばれるジャーナリングです。今回は、ジャーナリングの始め方や効果、オススメのテーマをお届けします。
日記とは違う。書く瞑想とも呼ばれる「ジャーナリング」とは?

ジャーナリングとは、自分の考えや気持ちを「書き出す」ことで心と向き合う習慣のこと。
日記が日々の出来事を記録するのに対し、ジャーナリングは今の感情や本心を記録・整理します。
一見単純な行為ですが、書き出すことで「捉えきれていない自分の考えや気持ち」が明確になり、次の4つのような効果をもたらすのです。
ジャーナリングがもたらす4つの効果

①頭の中を書き出すことで、解決の糸口が見えてくる
「誰かの上司」「妻」「母」のように、役割と比例するように増えるタスク。求められることに応えるだけで、あっという間に1日が終わってしまう……そんな経験、ありませんか?
抱えるタスクやいつかやりたいと思っていることなど、膨れ上がった“頭の中身”を外に出してみると、意外な気づきを得られます。
たとえば「想定していたよりも“やらなければならない”こと自体は多くない」、「私ってこんな風に考えていたんだ」のように。膨れ上がったものの正体が明確になると、対処法や解決策の糸口も自然と見えてくるものです。
②心のモヤモヤを書き出すことで、安心できる
誰にも言えない悩み、飲み込んだ本音、誰かを思って我慢したこと……。心に居座るモヤモヤを、言葉や書き方に制限なく書き出すと、不思議と安心感が得られます。それは、誰よりも理解してほしい自分自身に本音を知ってもらい、受け止めてもらえるからです。
③自己を深く理解し、ありのままを肯定できるようになる
ジャーナリングを続けていると、感情や思考の“パターン”に気づきやすくなります。
「こんな時に落ち込みやすい」「こう言われると傷つく」といった傾向を把握することで、そうなった自分を否定せずに理解できるようになるのです。
ありのままの自分を「これが私」と受け止めることは、周りの期待に過度に応えるのではなく、自分にとって心地よい生き方を選ぶ土台となります。
④「なりたい私」「理想の未来」が明確になる
「こうありたい」「これを成し遂げたい」という目標や願いも、書くことでより明確に、具体的になります。
また、日々の小さな達成や努力を記録しておくと、後から読み返したときに自分の成長を実感できるでしょう。
忙しない日々に追われているだけだと「何も成し遂げられていない」と焦ってしまいますが、ジャーナリングはあなたが着実に積み重ねてきたことを教えてくれるはずです。
今日からできる!ジャーナリングの始め方

ジャーナリングに決まった形式はありませんが、これから始める方に押さえていただきたい5つのポイントと、今日からできる3ステップをご紹介します。
ジャーナリングを始める際の5つのポイント
- 書く時間と場所を決める(寝る前5分、起床直後5分など)
- 最初は3〜5分程度の短い時間からでOK
- テーマや書き方のルールを決めすぎない(書かない日があってもOK)
- 「自分との会話」だと思って、良いことも悪いことも自由に正直に書く
- お気に入りのノートやペンなど、気分が上がる文房具を使う
簡単3ステップで、ジャーナリングを始めよう
- お気に入りのノートやペンを準備する
- 決めた時間と場所で、今日感じたことや考えたことを書き出す
- 心に引っかかったことがあれば、その理由まで掘り下げる
【時間や状況別】ジャーナリングのおすすめテーマ

ジャーナリングではその日の気持ちや状況に合わせて「書きたいことを自由に書く」のが一番です。でも、「自由と言われると何を書こうか迷う……」という人もいるでしょう。
そこでこの章では、すぐに書き始められるテーマを【かけられる時間や状況別に】ご紹介します。
【3~5分で書く】1日を振り返る
- 今日1番うれしかったこと、楽しかったこと
- 今日、自分を褒められること
- 今日1番ストレスを感じたこと(+その理由)
- 今の自分が「友達」だった時、どう声をかけてあげたい?
【10分で書く】最近の出来事を深掘る
- 最近モヤモヤしているなら……。その正体と理由は?
- 本当はやりたいのにできていないことがある……。その障害となっているものは?
- 今、自分が一番大切にしたいことは? そのために手放すと良さそうなことは?
- 今の悩みと、ちょっと先の未来の理想。1ヶ月後の私に手紙を書いてみる
【気持ちが乱れている時】本音と理想を問いかける
- 「今の気持ち」をまず紙に書く
- どうしてその気持ちになったのか、経緯や理由を自分に問いかける
- 「本当はどうしたかったか?どうされたかったか?」を具体的に言葉にする
1にある「今の気持ち」は、怖い・悲しい・ムカつくなどのほかにも、嬉しいけど怖い・嫌だけど仕方ないと感じる、のように複数の気持ちが混ざっていることも多いです。ていねいに言葉にしてみましょう。
また、2では「どうして?」と何度も問いかけることで、自分の本音が見えやすくなります。自分が本音を打ち明けやすいように、やさしく問いかけてみてくださいね。
【前へ進みたい時】できたことや理想にフォーカスする
- 今日「できたことリスト」を書く(些細なことでもOK)
- 1週間・1ヶ月ごとの自分の成長や変化を書く
- 人に言われて嬉しかった言葉や感謝されたことを書く
- 理想の自分の姿や、理想の生活を具体的に書く(ビジョンボードを同時に作るのもオススメ!)
【より心地よく生きたい時】過去のジャーナルを「心の羅針盤」にする
1週間〜1ヶ月ごとに過去のジャーナルを読み返し、自分のパターンを探してみましょう。定期的な振り返りは、より自分にフィットした選択をするための道しるべとなります。
振り返るポイント
- 繰り返しやすい感情や思考のパターンを探す
- 気持ちが乱れた時の共通点を探す
- モチベーションを感じること、どんな時に意欲が湧くかを探る
- 期間中の成長や変化を書き出してみる
今日から「自分の声を聴いてあげる時間」を始めよう

忙しない日々の中で、つい後回しにしてしまいがちな「自分の声」。でも誰かの期待に応えることと同じくらい、「自分の声に応えること」は心地よく生きる上で必要です。
たった数分間で構いません。お気に入りのノートとペンを用意して、誰にも邪魔されない「自分の声を聴いてあげる時間」を、今日から始めてみませんか?
さて次回は、『自分を大切にする、ってどういうこと?』についてお届けします!(※5/26(月) 8時に公開予定)
編集部・アイ
人間への好奇心と実験欲にあふれるライター。人生の“ままならなさ”は生きる醍醐味。今まさに読んでくださっているあなたと「ままならないね〜」と分かち合い、「まあでも頑張るか!」と肩を組めるような言葉を紡ぎたい、と常々思っている。