花を持っている女性

「自己肯定感」がなくてもOK。自分を大切にするって、どういうこと?

Poco’ce編集部が月曜8時にお届けする連載、【さあ、今週もわたしのために。】

「つい人と比べてしまう日々で、疲れた」
「自分を大切にしたいのに、どうしたらいいかわからない」
「自分を好きになりたいのに、嫌なところばかり目につく」

そんな風に悩んでいませんか?

わかる、わかります。編集部・アイ、わかりすぎて首が取れてしまいそうです。

周りと比べたって自分を否定したってしょうがない、そもそも私はものすごく頑張っている──はずなのに、次の瞬間にはまた自分を「ダメな奴」と責めてしまう。

私だって自分を大切にしてあげたい、でも大切にするってなんなのかわからない。

そんなあなたへ。今回は編集部・アイと、「私を大切にする」とはどういうことか一緒に見ていきましょう。

「自分を大切にする」ってなんだろう?

ハートを持っている女性

「自分を大切にする」とは、自分を深く理解しようと努め、自分をひとりの人間として尊重し、存在意義や価値を評価・判断せずに温かく接すること

自分の心や身体が今何を感じているか、何を求めているのかをしっかりと聞き、必要な選択をすることが、自分を大切にすることと言えます。

周りから評価されるため・価値ある人間と思われるために行動しているときには、これらがなかなかできません。

「自分を大切にする」という行為に含まれる言葉や近しい言葉には、以下のようなものがあります。

  • 自己一致(感じていることなどの内側と、言動などの外側が一致すること)
  • 自己受容(かっこ悪い自分やできない自分も含め、自分のすべてを受け入れること)
  • 自己信頼(無条件に自分を信じること)

※リストに「自己肯定」がないことに疑問を抱いた人がいるかもしれませんが、その理由はあとでお伝えします。

つまり、「自分を大切にする」の核心は

  • 失敗しても、うまくできなくてもOK
  • 自分を好きでも嫌いでもOK
  • 自分を肯定していてもしていなくてもOK
  • 前向きに生きても生きなくてもOK
  • 自分に価値があると感じられなくてもOK

という無条件の愛であり、「自分を好きであること」は「自分を大切にすること」の前提条件ではないのです。

「自分を大切にする」に対する、よくある2つの勘違い

①自分が求めるものをすべて与えること(わがまま・甘やかし)ではない

スプーンを持っている女性

自分を大切にする=自分を深く理解しようと努め、自分をひとりの人間として尊重し、存在意義や価値を評価・判断せずに温かく接すること

とお伝えしましたが、これは「自分が求めるものをすべて与えること」とイコールではありません。

なぜなら、自分が「欲しい」と言ったものが「本当に欲しいもの」ではない可能性があるからです。

たとえば、あなたがストレスで暴飲暴食に走り、もっと食べたいもっと飲みたい!そうすればストレスを発散できる!と思ったとします。

お皿に盛り付けられたポテト

でもそれが本音でしょうか?

本当に求めているのは、暴飲暴食を通じたストレス発散ではなく、「自分に話を聞いてもらい、寂しさに共感してもらい、これからのことを一緒に考えてもらうこと」かもしれません。

また、もしあなたが自分自身の親、あるいは親友なら、ジャンキーなお菓子やお酒を大量に買い与えるのではなく、何にストレスを感じているのかをじっくりと聞き、「辛かったね」と受け止めてあげるのではないでしょうか。

このように、自分を大切にするには、自分の感情や欲求を見極めて動く必要があります。
自分を大切にすること=「わがままを通すこと」「自分を甘やかすこと」ではないのです。

②「自己肯定」は、自分を大切にするための前提条件ではない

座り込んでいる女性

「自分を大切にすることは、つまり自分を好きになること・自分を肯定すること」。そんなイメージを抱いている人は、多くいることでしょう。

ここで、無条件の受容を前提とした「自分を大切にする」とは少し異なる概念について見てみましょう。

  • 自己効力感(成し遂げたいことに対し、それを解決・達成するために自分の力を発揮できる、という信念)
  • 自己肯定感(自分の存在意義や価値などを肯定的に捉えられている感覚)
  • 自己有用感(他者に必要とされ、役に立てていると感じることで生まれる、自分に対する肯定的な評価)

この中でも特に「自己肯定感」は「自分を大切にすること」と結びつけられやすいのですが、肯定とはつまり評価であり、“無条件”とは言えません。

また、自己肯定は「成功」や「他者からの承認」などの外的な評価基準に依存しやすく、時代や環境の変化などでそれらが崩れると、自分の価値を見失う傾向があります。

自分を大切にするために、自分を好きにならなくても良いのです。何かに失敗した時、「だから私はダメ」と評価したり、「そんな私は嫌い」と否定しなくて良いのです。

必要なのは、評価や判断を挟まずに、そのままの自分をただ受け入れること。

自分を大切にし始めると起こる、ポジティブな変化

ピンク色のお花

①他人との比較が減り、焦らずに自分のペースで進めるようになる

「こんなに頑張っているのに、いつも焦っているし不安でいっぱい」、そう感じては無意識にSNSを開き、キラキラした誰かの成功を見てさらに落ち込む……。

そんな経験をしたことのある人も、自分を大切にできるようになると他人との比較が減り、自分に合ったペースで進めるようになります。
他人の成功を「自分の価値の減少」として受け取らなくなるので、「あの人も頑張ってる。私も私なりにやろう」と思えるのです。

②他人ではなく、自分を優先できるようになる

ちゃんとしなきゃ、役に立たなきゃ、◯歳までに成果を出さなきゃ……。社会的な期待に応える(=他人に認められる)べく、自分を犠牲にして頑張ってきた人もいるでしょう。

そんな人も、自分をひとりの人間として尊重し、「今の自分に必要な選択」ができるようになります。

疲れ切っている時にはしっかりと休ませて、何かにトライしたいとワクワクしている時にはチャレンジの機会を与える。

そんな風に、誰かに評価されるためではなく「自分を喜ばせるために」選べるようになるのです。

③夢・目標達成の近道であり、周りを大切にすることでもある

「もっとできたはずなのに」「こんな私じゃダメ」と、少しの失敗も許せずに自分を責めた経験はありませんか?

向上心が高く自分に厳しい人ほど、「自分を大切にするなどと悠長なことは言っていられない!」と思いがち。

でも、自分に厳しくしすぎて心身の健康を害しては元も子もありませんし、自分に対する怒りが周りに向かないとも限りません。

自分を大切にすることは、あなたの夢や目標達成の近道。そして、周りを大切にすることでもあるのです。

自分を「好き」にならなくても「大切」にはできる

海辺を1人で歩いている女性

「自分を大切にする」は、「自分を好きになる(肯定する)」こととほぼ同義として語られることが多いので、

「えっ!?自分を好きかどうかに関係なく、自分を大切にできるの!?」

と、驚いた人もいるかもしれません。そうなんです、できるのです。

自分を大切にできるようになれば、必要以上に焦ったり不安になったりすることなく、周りにも助けを求めながら、そして困っている人の助けになりながら、自分に心地の良いペースで生きられるようになります。

なんだかそれって、すごく楽しそうですよね。

ということで次回は、『自分を大切にする具体的な方法』をお届けします!(※6/2(月) 8時に公開予定)

編集部・アイ

人間への好奇心と実験欲にあふれるライター。人生の“ままならなさ”は生きる醍醐味。今まさに読んでくださっているあなたと「ままならないね〜」と分かち合い、「まあでも頑張るか!」と肩を組めるような言葉を紡ぎたい、と常々思っている。

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