
美容医療やエステ契約で契約不備がある…。消費者保護の特別ルールで返金される可能性があるかも!?
美容施術が手軽に受けられるようになった一方で、強引に契約を迫り、法律で決められた基準を満たした契約書をつくらないといったエステサロンやクリニックがあることはご存じでしょうか?
そういったサロン・クリニックに行き、「強引に契約させられてしまった」「無理なローン契約を結ばされた」というケースもあるそう。
そこで編集部が注目したのが、「契約不備があれば、美容施術のお金は、いつでも返金される可能性がある」という事実。実際にどんなことができるのか、ベリーベスト法律事務所の寺田則久弁護士にお話を伺いました。
契約不備があれば、美容施術にかかったお金が返ってくるかも!?
エステや脱毛、痩身クリニックなど、理想の美を叶えてくれる美容医療や関連サービス。
手軽に利用できるようになった反面、一部のクリニックでは強引に契約を迫り、契約書をきちんと作っていないというケースもあるそう。厚生労働省の調査によると、約3割※1のクリニックやエステサロンが契約書を交付していなかったり、分からないと答えていたりするとの結果が出ているのだとか。
実は契約に何らかの不備があった場合、施術前・施術中・施術後いつでも、施術にミスが無くても、契約をなかったことにして、お金を取り戻せるってご存じですか?
にわかには信じがたいこの話。実は編集部が、美容クリニックやサロンの契約不備の問題に取り組んでいる『ベリーベスト法律事務所』から聞いたお話です。
ベリーベスト法律事務所は、全国に74拠点、所属弁護士の数は約410名(2025年10月現在)、離婚・労働・交通事故・労災などを幅広く扱う、日本最大級の法律事務所です。
同事務所では今年3月に「美容施術の返金」に特化した専門サイトを開設。このサイトを通して、自分のケースがその対象か、返金の可能性があるのかを、対面・電話・オンラインで弁護士に相談できる窓口を作ったそう。
さらに相談料は不要で、成果があった場合にのみ報酬が発生する仕組み※2なので、費用面を心配せずに利用できるのも大きな魅力とのこと。今回は、美容施術の契約不備問題に取り組むベリーベスト法律事務所に取材しました。
※1 出典:厚生労働省ホームページ 「第3回 美容医療の適切な実施に関する検討会 資料2 医療の質の向上に関する問題について」https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001318152.pdf
※2 ご相談内容によっては、相談料が有料になる場合があります。

弁護士 寺田則久 (大阪弁護士会所属)
東京大学法学部卒業後、北海道大学大学院法学研究科法律実務専攻(LS)を卒業。
司法試験に合格し、最高裁判所司法研修所(福井地方裁判所配属)後、ベリーベスト法律事務所へ入所。仕事をする上で心がけているのは親しみやすさとわかりやすさ。さまざまな消費者トラブルの解決に日夜取り組む。
美容施術の返金対象者って?
【原則】
□ 5万円を超え1ヶ月を超える期間の契約で、エステや美容クリニックで対象施術を受けたことがある人
(対象施術:脱毛や痩身のエステ、レーザーを使った医療脱毛、しみとりやポテンツァなどの美肌治療、ヒアルロン酸注入や糸リフトなどのしわ・たるみ改善施術、脂肪溶解注射、脂肪冷却機械を使用した医療ダイエットなど)
↓
たとえば、以下のような契約不備がある。
□ 契約書をもらわなかった
□ 紙1枚くらいの一色刷りの契約書だった
条件に当てはまれば、かかったお金が返金される可能性があります!
「施術が終わっている」や「サロンやクリニックと揉めるのは怖い」は、返金されない理由にはなりません。美容施術の返金対象者は、実はとっても幅広いんです。
施術中や施術後でもお金が戻ってくる、その根拠は「クーリング・オフ」
井上 施術中や施術後でも、かかったお金が戻ってくる場合がある、というのは本当ですか。
寺田 はい。条件を満たせば返金対象になります。エステサロンやクリニックでの脱毛や痩身など法律上の対象となる施術で、5万円を超える契約で、かつ1ヶ月を超える継続的なサービスの契約をしていて、契約に不備があれば返金の対象になります。
井上 それは、どういう理由で戻ってくるんでしょうか。施術後でも戻ってくるというのが不思議で…。
寺田 そうですよね。実は返金の法律上の根拠は、クーリング・オフなんです。クーリング・オフってご存じですか?
井上 はい、知ってます。でもそれって、「契約をある程度の期間ならキャンセルできる」っていう制度じゃないんですか?
寺田 そもそもクーリング・オフとは、「契約後でも冷静に考える時間を消費者に与え、事業者とのトラブルを防ぐこと」が目的です。つまり、契約書をよく読まずに契約してしまったり、そもそもちゃんとした契約書すらなかったりという場合に適用されます。井上さんがおっしゃったように、エステサロンや美容クリニックの施術でも、その期間は原則「契約書を渡してから8日以内」と決まっています。ただし、渡した契約書が法律上の要件を満たしていなかったり、契約するまでに何か不備があったりすれば、その期間はスタートしません。つまり、施術中でも施術後でも、いつでも契約をやめてお金を取り戻すことができるんですよ。
井上 契約の不備って、例えばどんなものがあるんでしょう?
寺田 受け取った契約書が手書きだったり、契約書の項目が紙1枚で1色刷りだったりして、内容が十分に書かれていない場合は不備がある可能性が高いです。
施術の出来・不出来は関係ない。仕上がりに満足でも返金される可能性も。
井上 出来上がりが気に入らないっていうパターンは、この制度の対象外なんですか?
寺田 はい。「施術の仕上がりが気に入らない」という相談もいただくのですが、それはクーリング・オフとは別の話ですね。この返金請求には「施術の出来・不出来」には関係ありませんので、そこは注意が必要です。
井上 あくまで「契約の手続き」に不備があったかどうかがポイントということですね。
寺田 その通りです。施術内容や結果に満足でも、契約書が取り交わされていなかったり、契約書に法律で定められた必須事項が書かれていなかったりした場合には、クーリング・オフによって契約をなかったことにできる可能性があります
高額ローンを組んでしまって払えない!そういうケースも相談して

井上 実際どういうご相談が多いんですか?
寺田 とても安い金額で施術できると聞いてサロンに行ったのに高額な契約を迫られて、契約するまで帰してもらえないというケースが多いですね。そういう契約をする際、ローンを組んでしまって、そのローンが後で払えなくなったというトラブルを抱えてしまう方がいらっしゃるんです。契約書を見せてもらうと、法律上の要件を満たしていないことが多い。契約書がきちんとしていないのであれば、クーリング・オフで支払いをストップしたり、返金を受けたりすることができる可能性があります。つまり、借金がゼロになるかもしれないんです。
美容施術の返金に関する相談は無料。ぜひ連絡を
井上 そんなこともあるんですね。自分だけで判断したら、ずっと払い続けてしまうかもしれないですね。
寺田 相談していただければ、クリニックとの対応はすべて弁護士がしますので、気まずくなったり、面倒なやり取りをしたりせずに済むのも大きなメリットだと思います。
井上 弁護士に相談するということ自体、ハードルが高くて…。
寺田 美容クリニックやエステサロンのクーリング・オフに関する相談は無料です。成功報酬は発生しますが、「自分のケースが対象か」を相談するのには一切お金がかからないので、気軽に相談してほしいです。契約書があればベストですが、契約書を渡さないエステサロン・クリニックもありますので、「どこで、どういう契約で施術を受けたか」という情報を弁護士に伝えてください。対象かどうか弁護士なら判断できます。
井上 これからは、「どんな施術をいつからスタートさせたか、そこでどんな契約をしたか」は明確にしておこうと思います。
寺田 この返金請求の対象となる方は幅広いです。契約不備があれば、施術前でも施術後でも、いつでも返金請求できます。高額ローンのトラブルがなくても、美容施術をしたことがある方は、対象となっている可能性があります。まずは契約書を確認してみてください。ひょっとしたら私も返金対象かもと思った方は、ぜひご連絡いただきたいですね。
もっと知りたい!美容施術のクーリング・オフ
Q返金の対象施術は?
脱毛や痩身のエステ、レーザーを使った医療脱毛、しみとりやポテンツァなどの美肌治療、ヒアルロン酸注入や糸リフトなどのしわ・たるみ改善施術、脂肪溶解注射、脂肪冷却機械を使用した医療ダイエットなどが対象です。単発施術や5万円以下の契約や二重整形、クマ取り、豊胸や脂肪吸引手術などは対象外となるので注意。
Q昔の契約でもいいの?
契約に不備があるなら、昔の契約でも返金対象となる可能性があります。お手元にある資料をできるだけ弁護士にお見せください。返金対象かどうか判断いたします。
Q結果に満足しているけど、対象者なの?
お客さまの契約に不備があれば、対象者です。結果の出来不出来は関係ありません。値段が高かったかも、支払いが大変で困ったなどの悩みがある場合は、一度、ご相談ください。
Q通っていたエステ・クリニックが倒産! 対象となりますか?
クーリング・オフしても、クリニックからの返金は受けられません。しかし、その契約でローンを組んでいた場合、そのローンを払い続けなくてもよくなるかもしれません。詳しくはご相談ください。
Q1ヶ月を超える施術ではなかったら、対象外ですか?
原則は対象外です。ただし施術が1ヶ月を超えるものではなかったとしても、無料で行われるアフターサービスを含めたら1ヶ月を超えるというコースなら、サービスが継続的に提供されていると判断され、クーリング・オフの対象となる可能性があります。
まずは、お電話かメールでコンタクト

「私も対象かも?」と思ったら電話かメールで連絡を。「いつ、どんな契約を交わし、今どこまでの施術が終わっていて、どれだけの支払いが残っているか」など、契約内容と現在の状況をまとめておくと話がスムーズです。サインした契約書があればそれも用意しておきましょう。相談は無料。ぜひご連絡を。

取材協力
ベリーベスト法律事務所(ベリーベスト弁護士法人 所属:第一東京弁護士会)
℡0120-140-051(平日 9:30~21:00/土日祝 9:30~18:00)
https://x.gd/KnQXr

