
「聞きたいのに聞けない」が、恋愛を難しくする。重くならずに相手の価値観を聞くコツ
Poco’ce編集部が月曜8時にお届けする連載、【さあ、今週もわたしのために。】
前回は「付き合う前に話したい5つの価値観」をご紹介しました。どんな関係を望むのか、連絡頻度や会う頻度、人生設計、一人時間や友人関係、お金や暮らし方の感覚。いずれも、交際後の満足度に大きく関わる価値観です。
ただ、多くの人はここで同じ悩みにぶつかります。
「事前に話しておくべきなのは分かる、でも聞けない」。
恋愛で苦しくなる原因は、価値観の違いそのものではありません。価値観の違いを聞けないまま、知らないまま、関係が深まってしまうことなのです。
そこで今回は、価値観の話を軽やかに進めるための会話のコツや、実際にどのタイミングで何を話せばいいのかを掘り下げていきます。
価値観を聞けないのは、「評価」が怖いから

恋愛の初期に、結婚願望(あるいは長期的にパートナーシップを築きたいかどうか)や将来設計、お金や暮らし方といった価値観の話が難しく感じるのは、話題そのものが重いからではありません。相手にどう思われるかが気になるからです。
結婚願望を聞いたら「重い」と思われそう。
連絡頻度を聞いたら「束縛する人」と思われそう。
将来の話をして「焦っている」と思われたくない。
一人の時間が必要だけれど「冷たい人」とは思われたくない。
つまり私たちは、質問の内容そのものではなく、その質問によって相手からどう評価されるかを気にしているのです。
特にまだ関係性ができていない恋愛初期は、好かれるため、あるいは嫌われないために、本音を隠してしまうこともあるでしょう。しかし、それが後悔に繋がるケースも珍しくはありません。
たとえば、本当は結婚願望が強いのに、その話を避け続けた結果、半年後に相手が「結婚は考えていない」と言い出した。本当は頻繁に会いたいのに、相手に合わせて平気なふりを続けた結果、自分だけがいつも寂しさを抱える関係になった。
そんな後悔を未然に防ぎ、スムーズかつ軽やかにお互いの価値観の話ができるよう、次の章で「3つのコツ」をまとめました。
重くならない!相手の価値観を引き出す3つのコツ
①「自己開示」から始める

重い空気感にせず、相手の価値観を引き出せる人には共通点があります。それは、質問ではなく自己開示から始めること。
たとえば、関係性の浅い相手の結婚観を知りたい時には「結婚願望はありますか?」と質問するのではなく、「最近友達の結婚ラッシュで、自分の将来について考えることが増えたんですよね」と自分の考えや気持ちをシェアすることから始めましょう。
前者の直球な質問だと、相手は質問の意図が分からず困惑するでしょうし、あなた自身も「重いと思われるかも」なんて気持ちがよぎってしまうなど、心地よいコミュニケーションが取りづらくなります。
しかし後者のようにこちらから自己開示をすれば、相手も「僕も最近同じようなことがありました」「私はまだそこまで考えないかも」と自分の考えを話しやすい空気を作れます。その流れで、あなたが本当に聞きたかったことを自主的に話してくれる可能性もあるのです。
不思議なことに、人は質問されるよりも、相手の自己開示を受けた時のほうが本音を話しやすくなります。
恋愛初期に必要なのは情報収集ではなく、焦らずに信頼関係を築くこと。相手を知りたいなら、まずは自分をオープンにしてみましょう。
②結論ではなく「生活」の話から入る

結婚したいのか、子どもは欲しいのか、共働き希望なのか、年収と貯金はいくらなのか、自分の理想とマッチするのか───。恋愛で失敗しやすい人ほど、そういった「結論」を急ぐ傾向にあります。
特にタイムリミットを気にしている場合は焦って聞きがちですが、それらの質問だけでは相手が描く「生活や暮らし」、「その土台にある価値観」は見えてきません。
誰かと生きるとは、日々の生活をともに積み重ねていく、ということ。結婚したいタイミングが同じでも、年収と貯金が理想通りでも、実際に向き合っていくのは「日々の生活」です。
生活を営み積み重ねていく上での土台があまりにも違う時、お互いを尊重しながらも、理想と現実を擦り合わせより良い選択をし、支え合っていけるのか。その努力を諦めずに続けていけるのか、思い通りにならない時に簡単に投げやりにならないか。
そういった姿勢の有無は「どの場所で、どう生きて、どう働き、どんな暮らしを営みたいのか?」に現れることも多いものです。
ですから、結婚や子どもについてどう考えるかよりも先に、お互いが理想とする生活や暮らしと、その土台にある価値観の話をしてみましょう。
何歳までは仕事中心の生活がしたい、自然の多い場所で暮らしたい。仕事よりも趣味を充実させたい。お金はこれに使いたい、一人時間はこのくらい欲しい───生活の話の積み重ねの中で見えてくるものの方が、実はずっと本質的ではないでしょうか。
③答えより「背景」を見る

②でもお伝えしましたが、将来設計に焦っている時は、結婚願望の有無や子どもが欲しいかどうかなど、「結論」や「答え」ばかりに注目しがちです。
でも本当に注目するべきなのは、その答えに至った「背景」ではないでしょうか。
相手に結婚願望がないからといって、すぐに「自分とは合わない」と判断するのは時期尚早です。なぜなら、その背景は人によってまったく違うから。
仕事に集中したいからかもしれませんし、まだ具体的に考えられないだけかもしれません。過去の経験が影響している人もいるでしょう。
逆に、相手に強い結婚願望がある場合も同じ。今すぐしたい人もいれば、いつかできたらいいと思っている人もいます。そしてその中には、相手と協力して家庭を運営したいと考える人もいれば、無意識的に相手に家事を押し付けようとしている人もいるのです。
「答え」だけでは、相手がどう考え、何を大切にしているのか───つまり、その先にあるリアルな日常も、相手の価値観や本質も見えてきません。「なぜそう思うの?」という問いを忘れずに対話してみましょう。
どのタイミングで何を話す? 価値観の話には適した順番がある

価値観の話がうまくいかない理由のひとつに、「聞くタイミングが早すぎる、または遅すぎる」という問題があります。
たとえば初対面で結婚や子どもの話ばかりすると、相手は査定されているように感じるかもしれません。一方で、付き合う直前まで何も話さなければ、重要な価値観の違いに気づかないまま関係が進んでしまいます。
適切なタイミングで「話すべきこと」を話せるように、関係性に合わせて話題の深さを変えていきましょう。
関係性が浅い段階では「その人らしさ」
関係性が浅い段階で知りたいのは、まずは「その人らしさ」。どんな仕事をしているかだけでなく「仕事のどんなところが好きか」を、休日に何をしているかだけでなく「どんな休日なら充実したと感じるか」を、相手が何に喜びを感じるかを聞いてみましょう。
一見すると恋愛とは関係ないようにも見えますが、こういった話は本人の価値観が色濃く表れていることが多いものです。
少し関係が深まったら「将来の軸と柔軟さ」
少し関係が深まったら、将来の話にも触れてみましょう。たとえば「これからやってみたいことはあるか」「今後の人生で楽しみにしていることは何か」などの質問です。
ここで知りたいのは、夢の大きさではありません。相手が未来をどのような軸で、どのくらい柔軟に考えているか、ということです。
仕事を軸に考える人もいれば、家族との時間を軸に考える人もいるでしょう。海外で暮らしてみたい人もいれば、地元に戻りたい人もいます。そしてそれぞれ「仮にパートナーがいても絶対にそうしたい」人もいれば、「相手に合わせて選び直したい」人もいます。
これらの自分との違いを知ることで、相性も少しずつ見えてくるでしょう。もし相手と大きく違う場合には、「価値観がズレていたら、すぐに離れるべきなのか?」という章を読んでみてください。
付き合うかどうかを決める前には「お互いにとって大切な価値観」
関係性を次のステップに進めるかを考える段階に入ったら、お互いにとって大切な価値観を共有しておきたいですね。ここで重要なのは「確認」ではなく「共有」という姿勢です。
- 自分は将来的には結婚できたらいいなと思っている
- 自分は仕事も大事にしたいから、お互いに自立した関係が理想
- 自分はお金をこういうことに使い、関係性が変わっても一人時間を大事にしたいタイプ
これらは、相手に同じ価値観を求めるためではなく、自分がどんな人なのかを伝えるための「共有」です。前の章同様、もし相手と価値観が大きく違う場合には、次の「価値観がズレていたら、すぐに離れるべきなのか?」という章を読んでみてください。
価値観がズレていたら、すぐに離れるべきなのか?

価値観の不一致は、恋愛や結婚だけでなくバンドの解散理由でも聞きますよね。同じビジョンを描き切磋琢磨していても、価値観がズレてしまうことは往々にしてあります。
しかし皆さんもご存知の通り、「価値観が違ったら即関係終了」ではありません。大切なのは価値観が同じかどうかではなく、その違いに向き合えるか、だからです。
たとえば、連絡頻度の違い。毎日やり取りしたい人と、数日に一回で十分な人がいたとしても、お互いに歩み寄ることは可能です。「朝と夜だけは連絡しよう」「忙しい日は一言だけでも送ろう」と調整できるケースは多いでしょう。
ただし、人生設計に関わる価値観は慎重に考える必要があります。
たとえば、一方は絶対に結婚したい、もう一方は絶対に結婚したくないと思っている場合。あるいは、子どもが欲しい人と欲しくない人。こうした人生設計に大きく影響する価値観が異なると、どちらかが我慢し続ける形になりやすいため、慎重に考えなくてはなりません。
前提として、「今は考えていない」と「絶対に考えない」は違います。だからこそ答えだけではなく、その考えや価値観に至った背景を知りましょう。その後で、以下の3つのポイントを「今後の関係性」を検討する材料にしてみるのもオススメです。
- その価値観が将来にどれくらい影響するか
- お互いに歩み寄る余地があるか
- 自分がその違いを受け入れられるか
【ワーク】自分が譲れないことリスト

価値観のすり合わせをする中では、相手に何を聞くかばかり考えてしまいますよね。でも本当に大切なのは、自分が何を大事にしているかを知ること。
実際、恋愛で苦しくなりやすい人ほど、自分の希望よりも相手に合わせることを優先しています。相手の価値観を理解し尊重するのは素敵ですが、その前に、自分自身の価値観を理解し尊重してあげましょう。
次の項目を見ながら、
- 絶対に譲れない
- できれば大切にしたい
- 特にこだわりはない
の3つに分けてみてください。分けられない場合には記述でもOK、数字が必要な質問には具体的な数字を使って答えてみましょう。
- 結婚したいか、あるいは長期的にパートナーシップを築きたいか
- 結婚するとしたら何歳頃をイメージしているか
- 子どもについてどう考えているか
- 仕事と家庭のどちらを優先したいか
- 恋人とはどれくらいの頻度で連絡を取りたいか
- 会う頻度はどれくらいが理想か
- 一人時間はどれくらい必要か
- 友人との付き合いをどれくらい大事にしたいか
- お金は貯めたいか使いたいか、貯めたいなら何のために?使いたいなら何に?
- 住みたい場所にこだわりはあるか
- 共働きについてどう考えているか
- 家事や育児の分担についてどう考えているか
人生の中で、誰よりも長く共に生きていかなくてはならないのは、他人ではなく自分自身。
だからこそ、まずは自分の価値観を丁寧に深掘りし、あなただけが無理や我慢を重ねなくていい関係性を相手と築いていけたらいいですよね。
まずは自分自身と相手を「知る」ことから始めよう
恋愛がうまくいくかどうかを決めるのは「価値観の一致」ではなく、「価値観について話せる関係か」「違いがある時に向き合えるか」です。
結婚やお金、不安や不満について話せる。「私はこう思う」と言えて、「あなたはどう思う?」と聞ける。そんな関係は、たとえ価値観に違いがあったとしても、お互いを理解しながら前に進んでいくことができるはずです。
相手の価値観を引き出す3つのコツや、自分自身の譲れないものを知れるワークを活用して、まずは自分自身と相手のことを「知る」ことから始めてみてくださいね。
編集部・アイ
人間への好奇心と実験欲にあふれるライター。人生の“ままならなさ”は生きる醍醐味。今まさに読んでくださっているあなたと「ままならないね〜」と分かち合い、「まあでも頑張るか!」と肩を組めるような言葉を紡ぎたい、と常々思っている。

