その疲れ、エネルギー漏れが原因かも。セルフプリザベーションの活用法・後編

Poco’ce編集部が月曜8時にお届けする連載、【さあ、今週もわたしのために。】

仕事もやりたいことも自分なりのリフレッシュも頑張っているのに、なんだかずっと疲れている───。

そう悩む方が真っ先にやるべきなのは、疲れを取る方法を模索すること以上に、疲れにくい毎日を作ること。おそらく、朝から通知に追われ、予定を詰め込み、人に気を使い、帰宅後もついSNSを見続けているのでしょう。

それでは、いくら努力しても疲れは取れません。底に穴が開いたバケツに水をいくら注いでも漏れ出てしまうからです。

今回は、前回に引き続きセルフプリザベーション(=自己防衛・自己保存)の考え方を活用した「疲れにくい毎日を作るセルフケア方法」をご紹介します。前回の記事と併せてご覧ください。

【4歩目】必要以上に疲れない家を作る

まずは、必要以上に疲れないために過剰なものを減らそう

忙しい毎日に疲れると、「家ではゆっくりしたい」と思うもの。でも、あなたの家は本当に「心と体が休まる場所」になっていますか?

床には荷物が置きっぱなし、テーブルには郵便物が積み重なり、シンクには洗い物が残っている───などのように、部屋に入った瞬間、「片付けなきゃ」「掃除しなきゃ」という気持ちになるなら、それだけで脳は新たなタスクとその負担を抱えることになります。

とはいえ、子どもがいたり、自分以外の同居人がいても、結局自分が家事のすべてを引き受けなければならない状況だと、「心と身体が休まる整った家」を維持することは本当に難しいですよね。

そういったケースはまず、「休まる家を作る」ではなく「必要以上に疲れない家を作る」ことに重点を置いてみましょう。ポイントは過剰なものを減らすこと

たとえば、床に荷物を置きっぱなしにしてしまう理由が「収納にモノが入り切らず溢れてしまうから」なのであれば、毎日15分、1日1ヶ所の片付けをする。

忙しい時は「シンクに洗い物を溜めない」という厳しいルールは作らず、「1日1回その時までに溜まっているものを洗えたらOK」とする。

過剰なもの(増えすぎたモノや厳しいルール)を減らすだけで、タスクも負担も随分と軽くなります。

「必要以上に疲れる」悪循環を、自ら作っているかも?

「必要以上に疲れない」ためには、夜の過ごし方にも注意が必要です。

疲れ切って帰ってきた後、「お風呂に入らなきゃなぁ」と思いながらダラダラとショート動画を流し見したり、「早く寝ないとなぁ」と思いながらNetflixを長時間観ていたりしませんか?

そういった過ごし方が癖づいている方も多い現代ですが、休んでいるようで身体(特に神経)は全く休めていません。それどころか、神経が高ぶって睡眠の質が悪化し、身体の回復が遅れ、「必要以上に疲れてしまう」悪循環を自ら作り上げていると言っても良いでしょう。

以下のテクニックを取り入れて、神経を落ち着かせて入眠できる環境を整えてみてください。

  1. 夜は白く明るい照明ではなく、暖かみのある、少し暗めの照明を使う
  2. ショート動画などをダラダラ観ないよう、帰宅後はスマホをリビングやワークスペースで充電する。その際にアラームを設定しておき、お風呂から出た後にスマホを触らず入眠できるようにする。
  3. 帰宅後はバッグの中身を出して元の場所に戻し、部屋が散らかっているなら必ず整理整頓する
  4. お風呂上がりや入眠前に使うルームスプレーやアロマを用意し、毎日それを使うようにする(それを嗅ぐだけで身体がリラックスする効果を狙う)
  5. 寝室の温度や湿度を快適に保つ
  6. お風呂上がりは、眠くなるまで五感が満たされることをする(読書、リラックスできる音楽を聴く、カフェインレスのお茶を飲む、身体のマッサージ、編み物など)

【5歩目】距離感を調整し、疲れにくい人間関係を築く

仕事が忙しくても、睡眠時間が少なくても、会うだけで元気になれる人がいます。反対に、特別嫌いな相手ではないのに、一緒に過ごしたあと妙に疲れてしまう人もいます。

この違いは「相手が良い人か悪い人か」ではなく、「自分との相性や距離感が、その時の自分に合っているか」です。「誰と付き合うか」を考えるよりもまず、自分のエネルギーが必要以上に削られないための距離感を模索してみましょう。

たとえばLINEの返信。「自分の時間をゆっくり過ごしたい」「今やっていることに集中したい」と思いながらも、通知が来た途端に『相手を待たせちゃ悪いから』『どう思われるか怖いから』と、すぐに返信してしまう人は少なくありません。

SNSの普及により、私たちはいつでもいつまででも繋がれるようになりました。それは便利である一方、他人との間にある境界線(バウンダリー)を曖昧にもします。

境界線が曖昧になると、例の「相手にどう思われるか怖い」のように他人が責任を持つべきことにまで意識を向け始め、コントロールしようとするのです。これが積み重なれば、あなたが本来別のことに使うべきエネルギーまで奪われて疲れ切ってしまうでしょう。

自分のエネルギーが他人に必要以上に削られないために重要なのは、他人との境界線を明確に引き、距離感をコントロールすること

  • 「LINEの返信は仕事が終わってから」「休日は翌日に返してもいい」「疲れ切っている時はSNSを見ない」というルールを作る
  • SNSを閲覧できる時間を有限にする(スマホの設定見直し)
  • 自分との予定も立て、他人に誘われてもその「先約」を守る
  • 周囲からの誘いに乗り気でない時は「またの機会に」と断る勇気を持つ
  • 自分が引き受けなくてもいいことを引き受けない

以上をまずは一つ取り入れるだけでも、疲れにくさを感じられるはず。それだけでなく、自分自身や周囲に優しくする余裕も生まれ、穏やかでサステイナブルな人間関係を築きやすくもなります。

【6歩目】挑戦を諦めるためではなく、挑戦を続けるためにある

前回の記事から様々なテクニックに焦点を当てて具体的にお伝えしてきましたが、ここで基本に立ち返ってみましょう。

セルフプリザベーションとは、無理をしない生き方・頑張らないための考え方ではありません。本来の目的はその逆です。

好きな仕事を続けるために、挑戦したいことを諦めないために、大切な人と笑顔で過ごすために、自分のエネルギーを「本当に使いたい場所」へ使えるように日々の生活を整える、という考え方です。

どんなに能力があっても、どんなにやる気があっても、お金や時間と同様にエネルギーにも限りがあります。

細かなタスクやストレスに追われてばかりで、疲れ切って眠る日が続けば、新しいことを始める余裕はなくなります。本を読みたいと思っても文字が頭に入ってこない、資格の勉強をしたくても集中できない、そんな経験のある人は少なくないでしょう。

一方で、同じ忙しさでも、疲れにくい生活作りをしている人は、その分のエネルギーを「未来のための新しい挑戦」や「今自分に本当に必要な時間」のために使うことができます。

細かなストレスを解消し、自分のエネルギーが漏れやすいポイントを塞ぎ、心も体も休める住環境を整え、心地よい距離感で他人と接する。

これら一つひとつはどれも劇的に人生を変えはしませんが、漏れ出なかったエネルギーを未来や今の自分のために使うことで、数ヶ月後、数年後には大きな違いを生むのです。

今の私たちに必要なのは、「疲れを取るためにもっと試行錯誤すること」ではなく、「疲れにくい毎日を作ること」。すでにあるエネルギーが漏れ出ない仕組みへと整えること。

前回の記事を併せて読み、自分に合ったライフスタイルを設計し直してみてくださいね。

エネルギーの漏れを防いで、自分が軽やかに挑戦できる土台を整えよう

前編に引き続き、後編である本記事では、セルフプリザベーションを活用した残りのセルフケア方法をご紹介しました。

毎日しっかり休んでいるはずなのに疲れが取れない時は、見えないところで少しずつエネルギーが漏れているのかもしれません。

必要以上に疲れない家づくりや、心地よい人間関係の距離感を保つためのヒントを取り入れながら、自分の生活の中にある「穴」を埋めていきましょう。

それを続けていくことで、貴重なエネルギーの漏れを防ぎ、あなたが軽やかに挑戦できる土台が自然と作られていくはずです。

編集部・アイ

人間への好奇心と実験欲にあふれるライター。人生の“ままならなさ”は生きる醍醐味。今まさに読んでくださっているあなたと「ままならないね〜」と分かち合い、「まあでも頑張るか!」と肩を組めるような言葉を紡ぎたい、と常々思っている。

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