
趣味まで「成長」しなくていい。役に立たない趣味のススメ
Poco’ce編集部が月曜8時にお届けする連載、【さあ、今週もわたしのために。】
「趣味は何ですか?」と聞かれて、少し困ったことはありませんか。
映画やドラマを見ることは好き。でも「趣味」と言えるほど詳しくない。たまに絵を描いたり、お菓子を作ったりするけれど、上手なわけでもない。そう考えているうちに、「私って、趣味がないのかも」と思ってしまう。
一方で、新しく何かを始めようと検索すると、スキルになる趣味、副業につながる趣味、自分磨きになる趣味、出会いがある趣味、といった言葉がよく目に入ってきます。
もちろん趣味を通して成長したり、仕事につながったりするのは素敵ですが、仕事だけでなく日々の生活でも、成果や効率、成長や意味を求めすぎてはいないでしょうか。
そこで今回は、あえて「役に立たない趣味」をあなたと共に探してみます。
上達しなくても、稼げなくても、誰かに見せなくてもいい。ただ自分が面白いから、心地いいから、ついやってしまうから続ける。そんな時間こそが、今を生きる私たちに最も必要なのかもしれません。
大人の皆さん、趣味にまで「成長」や「意味」を求めすぎていませんか?

子どもの頃を思い返してみると、好きなことを始める理由はもっと単純でした。きれいな石を集める、好きな漫画を何度も読む、意味もなく絵を描く、折り紙を折る、シールを集める。
そこに「将来役に立つから」という理由はほとんどありません。ただ楽しかったから、気になったから、やっていただけ。
ところが大人になると、自由に使える時間が減るぶん、「この時間を何に使うか」を考えるようになります。仕事に役立つ勉強をする。運動して健康を維持する。料理を覚えて食生活を整える。語学を学んでキャリアの可能性を広げる。どれも価値のある時間の使い方です。
だからこそ、新しい趣味を探すときにも「どうせなら役立つものがいい」と考えてしまいます。英会話なら仕事にも使える、ヨガなら健康や美容にもいい、SNS発信を続ければ仕事になるかも───のように。
ただ、ここで少し考えてみたいのです。
私たちの時間は、すべて何かの成長のために、役立つものに、使わなければならないのでしょうか。
「自己投資」を趣味にして疲れているなら

少し視点を変えてみましょう。現代の働く女性にとって「自己投資」は、そのものが趣味になり得るものです。美容、運動、読書、資格取得、語学、旅行など、お金や時間を自分に使えば未来の可能性も広がります。
ですが、これらに当てはまる人もきっと多いのではないでしょうか。たとえば……
- 小説やエッセイが好きだったはずなのに、いつの間にかビジネス書ばかり選ぶようになった
- 料理が好きで始めたのに、カロリーや節約、効率を考えすぎてしまう
- 身体を動かすことが好きだったのに、体重や回数、消費カロリーを記録しているうちに、義務に感じるようになった
自己投資という趣味を楽しめているなら問題ありませんが、それがいつの間にか「成果を出さなければならないこと」に変わり疲れているなら、一度立ち止まってみてもいいでしょう。
趣味は本来、何かの役に立たなくても成果や意味を求めなくてもいいのです。好きだから、楽しいから、面白いから。そこには「未来の自分のため」ではなく、「今ここにいる自分のため」という別の価値があります。
現代ではもしかすると、自分をアップデートしなくていい時間があることそのものが、贅沢になっているのかもしれません。
趣味にも「他人の評価」をつい求めてしまうなら

素敵なカフェに行ったら写真を撮る、旅行をしたら景色を投稿する、料理を作ったら記録する───SNSが日常の一部になった今、身の回りの出来事を誰かと共有することはごく自然になりました。
共有すれば、同じ趣味や価値観を持つ人と出会える機会も増えるでしょう。
しかしなんでも見せる生活を続けていると、徐々に他人の視線が入り込むようになります。反応がもらえるように綺麗に撮りたい、反応がもらえるように絵になる場所へ行きたい───のように。
つまり、自分は趣味を楽しんでいるのか、それとも楽しんでいる自分を見せることを楽しんでいるのかが曖昧になってしまうのです。
そんな現代だからこそ試してみたいのが、「誰にも見せない趣味」。
特に自分には趣味がないと思っている人、これから新たな趣味を作りたい人は、スマホやカメラを置いて、いろんなことにトライしてみましょう。
たとえば通い慣れた本屋に行く、散歩する、ノートに絵を描く、黙々とお菓子を作る、好きな音楽を聴きながら踊るなど。
他人の視線や評価が入り込めない場所で、いろんなことにトライしてみると、「誰にも評価されなくてもやりたいこと」が見えてくるはず。
そもそも好きなことがわからないなら
「何が好き?」の前に、感覚に意識を向ける

「好きなことを見つけよう」と言われても、好きなものがわからないから困っている、という人も多いはず。そんな人は「私は何が好きなんだろう?」と問いかける前に、自分の感覚に意識を向けて探してみるのがオススメです。
たとえば、気づくと見ているものを思い出してみましょう。
本屋へ行くと必ずインテリアの棚を見てしまう。SNSでは犬の動画ばかり見ている。スーパーへ行くと珍しい調味料が気になる。文房具店に入ると長居してしまう、など。
もうひとつの方法は、子どもの頃に好きだったものを思い出すこと。たとえば、絵を描く、漫画を読む、ビーズで何かを作る、虫や植物を見る、歌う、踊る、ゲームをする、シールを集める、など。
大人になるにつれ自由に使える時間が減り、優先度が低くなってしまったもの・やめてしまったものの中に、趣味の種があるかもしれません。
詳しくなくても、下手でもいい。趣味に「条件」をつけない

また、これから好きなものを見つけたい人、趣味を見つけたい人は、長く続けている・詳しい・上手・定期的にやっているなどの条件をつけないことにも注意しましょう。
というのも、趣味がないと感じている人の中にも「好きなものがある」人はいます。しかし、まだ好きになって日が浅いから、そんなに詳しくないから、下手だから趣味とは言えないと、趣味に「条件」をつけているケースが多いのです。
最近好きになったばかりでも、月に一度しかやらなくても、まだまだ知らないことばかりでも、好きという気持ちで十分。途中で飽きてもいいし、数ヶ月やって離れて、またやりたくなったら戻ってくる「ゆるさ」があっていい。
仕事では、できることが増えるほど評価される場面が多くあるからこそ、プライベートには下手なままゆるく楽しめる場所があってもいいとは思いませんか。
「役に立たない趣味」を見つける5つの基準

「自己投資」を趣味にして疲れている人、趣味にも「他人の評価」をつい求めてしまう人、そもそも好きなことがわからない人に向けて、意識して欲しいポイントをお伝えしてきました。
本章では、それ以外の「役立たない趣味を見つける基準」をご紹介します。趣味の候補に実際に手をつけながら、これからお伝えする5つの基準を照らし合わせて、自分に合っているかどうかをチェックしていきましょう!
- 取り組んでいる最中・その後に、機嫌が良くなるか。楽しいと感じられるか。
- 結果が出なくても・上達しなくても、続けたいと思えるか。
- 誰かに言わなくてもやりたいと思えるか。
- 始めるまでの負担が大きすぎないか。
- 途中でやめても惜しくないと思えるか。
特に5つ目は意外と重要です。そもそも趣味は、人生を豊かにするためのもの。続けること自体が義務になってしまっては本末転倒ですよね。
この5つの基準にある程度当てはまるなら、それは今のあなたに合っている趣味と言えるのではないでしょうか。
私たちの人生は、仕事のように成果や効率、成長や意味ばかりを求めるためにあるわけではありません。あなた自身がただただ「面白い」「心地いい」「楽しい」と感じられる時間を、この機会に増やしてみてくださいね。
成果も成長もいらない。今の自分を楽しませる趣味を探してみよう

大人になると、趣味にまで「役に立つか」や「成果が出るか」を求めてしまいがち。しかし趣味の本質は、未来のための自己投資ではなく今楽しむことにあります。
上達することや、誰かに認められることを目指さなくていいのです。今ここにいる私たちは、未来の自分のためだけに存在するわけではないのです。
子どもの頃に好きだったことや、普段つい目で行ってしまうことに意識を向けて、今ここにいる自分が「楽しい」「面白い」と感じられる時間を増やしてみてくださいね。
編集部・アイ
人間への好奇心と実験欲にあふれるライター。人生の“ままならなさ”は生きる醍醐味。今まさに読んでくださっているあなたと「ままならないね〜」と分かち合い、「まあでも頑張るか!」と肩を組めるような言葉を紡ぎたい、と常々思っている。

