多様化するライフスタイルで自分らしい豊かな人生を【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

15歳の頃から女優を始めて長期間の休みも取らず、ショウビズの世界を走り続けてきた、ミア・ワシコウスカ。

自分の居場所を確立したかったと語る彼女は、ハリウッドの華やかな生活から離れてオーストラリアに移住。

今の時代なら叶う、豊かな人生を送るセカンドライフを考えてみるのも良いかもしれない。

映画「ブルーバック あの海を見ていた」ミア・ワシコウスカ

海洋生物学者のアビー(ミア・ワシコウスカ)は、母親のドラが脳卒中で倒れたという知らせを受け、仕事を一旦休止して生まれ育った西オーストラリアに帰郷します。

ドラは一命をとりとめたものの話すことは困難となっていました。

アビーは海の近くの実家で母親の身の回りの世話をしながら、環境活動家だった母親から自然の魅力を教わった幼少期を振り返り自分の原点を見つめ直すのです。

1997年に出版された、ティム・ウィントンの原作小説を映画化した本作は、海の自然保護という環境に対するメッセージが込めらていますが、決して説教じみた堅苦しい物語ではありません。

大人になったアビーが少女時代に母親から受けた愛情や薫陶を回想しながら、人生にとって大切なものを再確認するという彼女の成長物語なのです。

本編の冒頭で少女時代のアビーと母親のドラがボディスーツを着て海に出ます。するとドラはボートから自分の指輪を海に落としてアビーに拾ってきてと言います。

不安に駆られるアビーに対してドラは、“やってみなければ何も始まらないわよ。”と告げ、アビーは意を決して海に潜り指輪を回収するのです。

海という自然の恵みと魚たちと戯れる楽しさ、そして背後に横たわる恐怖を、海に潜らせることで娘に伝えたのです。

本作はサスペンスでもなければミステリーでもなく、もちろん考察映画でもありません。そこにあるのは母と娘の深い交流と成長、そして海という自然の尊さです。

人生において経済的な“利確”が大事なことは否定しませが、その前に守らなければならないものがあるはず。ドラはアビーに、“人は海から生まれた。海の一部なの。”と語りかけます。

自然に対する畏敬の念を強く感じる本作を是非劇場で体験してみてください。

本作で“アビー”を演じる、ミア・ワシコウスカは、オーストラリアの首都キャンベラで画家の父親と写真家の母親の元に生まれ、幼少期からバレエの勉強をしつつ15歳の頃から女優活動を始めます。

そして『マンイーター』などのオーストラリア映画への出演経験を経て、2008年以降は『ディファイアンス』や『アメリア〜永遠の翼』などのハリウッド作品へ出演するようになります。

そして彼女のキャリアを大きく飛躍させたのがティム・バートン監督によるファンタジー映画『アリス・イン・ワンダーランド』です。

制作費約2億ドルで共演者はジョニー・デップという話題性もあり、彼女の存在を世界中の人々が知ることになりました。

その後も『キッズ・オールライト』、『永遠の僕たち』、『欲望のバージニア』、『イノセント・ガーデン』などの話題作に出演したミアですが、実はプライベートでの生活で大きな変化が訪れます。

オーストラリアから渡米してハリウッド中心に生活していた彼女は、2010年代後半に故郷であるオーストラリアへ移住したのです。

ミアはハリウッドから去っただけではなく、映画出演も特定のプロジェクトだけに参加すると表明しました。

15歳の頃から女優を始めて長期間の休みも取らず、ショウビズの世界を走り続けてきた彼女は、トレーラーの中にいる以外にも人生でもっとやりたいことがあると語っています。そして個人的なレベルで自分の居場所を確立したかったとも話しているのです。

ミアは共演者やスタッフや作品に恵まれ、仕事に不満があったわけではありませんでした。ただハリウッドの華やかな生活を続けてきた上で、そのスタイルが自分には合っていなかったと言うのです。

本稿を読まれている読者の中にも、故郷から都会に出て生活しながら息苦しさを感じている方もいらっしゃるはず。

ネット環境の精度も上がり、リモートワークなど日々のスタイルも多様に変化しています。

もし都会にストレスを感じているのならば、より自然に触れられるセカンドライフを実行するのも、豊かな人生を送るひとつの手段なのかもしれません。

ブルーバック あの海を見ていた

監督・脚本/ロバート・コノリー

出演/ミア・ワシコウスカ、ラダ・ミッチェル、イルサ・フォグ、アリエル・ドノヒュー、リズ・アレクサンダー、エリック・バナ 他

公開/2023年12月29日(金) YEBISU GARDEN CINEMA、
シネスイッチ銀座 他
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Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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