新曲「イカロス」から3つの物語が生まれる【秦基博】

“喪失”をテーマにギリシャ神話のイカロスをタイトルに掲げた秦基博さんの最新曲「イカロス」が2月1日にデジタルリリースされた。

そしてその楽曲からインスピレーションを受け制作された3本の映画を束ねた『イカロス 片羽の街』がU-NEXTで独占配信されている。

「ひとつの曲を元に生まれてくるものが、これだけ変わるというのが面白かった」そう話し始めてくれた秦さん。どんな作品になるかは全く想像していなかったという。

「三者三様の作品になっていて、それぞれ個性的で、解釈の仕方も違っているのは興味深かったです」

“喪失”をテーマにした理由を伺うと。

「具体的に何という理由はないのですが、時代感はあると思います。僕のこれまでの人生で大きな喪失感を味わったことはまだないけれど、大小違えど生きている限り喪失は必ずついて回るものだと思うんです。

最近のことでいえば、コロナもやっぱりそうかもしれませんね。今までの暮らしがなくなったと感じる人は多いと思います」

喪失感から立ち直るにはどうしたらいいのだろう?

「これという方法はないと思います。喪失感が消えて元に戻るということはないと思いますから、喪失した自分をどう受け入れていくかですかね。

でも、コロナのパンデミックを体験して思ったのは、人はどういう状況に陥ってもなんとかするんだなということ。

状況に応じて新しいものも芽生えてきますし、自分が置かれた環境の中で、一番できることは何かと探したと思うので」

喪失感とイカロスを結びつけたのは?

「喪失を歌う上で、どういう言葉にしていくかを考えた時に、モチーフとしてイカロスが出てきました。太陽に近づこうとすればするほど羽が溶けて地に落ちていく。

相反するものがそこにある切なさや悲しみ、それでも求めてしまう人間の性のようなものが象徴されている気がして」

秦さんがイカロスだったら? と聞くと「僕ならまず飛ばないかも(笑)。冒険はしないタイプなんで」と笑う秦さん。進むべき道に迷ったときは何を指針にしているのだろう?

「僕の選択基準は“本当にやりたいことかどうか”ですね。望まれているからではなく、自分の気持ちが最優先。やりたいと思ったことはなんでもやります。その基準を持って物事と対峙しないと自分がなくなってしまうから」

これまで“やっておけばよかった”と後悔したことはないのだろうか?

「後悔がないというか、それでしかないというか…。イカロスの歌詞にもあるのですが、“もし今日とは違う結末が僕らにあったとしても選ぶなんてできたのかな”って。きっとその時に戻っても同じ選択をすると思うんです。

そういう意味では、その時々でやるべきこと、やりたいことをやってきたと思います。もちろんそれが成功したかどうかはおいておいて」

今年は約3年ぶりとなるアルバムが発売され、全国ツアーが始まる秦さん。

「全国ツアーは各地の風土を感じられるのがいいですね。それに何より自分の音楽を受け取ってくれている人がいるということを実感できるので、作った意味があったと思える。それが楽しみです」

映画「イカロス 片羽の街」

「トイレのハナコ」監督/児山隆 
「豚知気人生」監督/枝 優花 
「十年と永遠」監督/中川龍太郎


秦 基博 × U-NEXT FILM「イカロス 片羽の街」
&PREMIUM LIVE「ICARUS」

2 月 11 日(土)より U-NEXT にて独占配信中

3年ぶりのオリジナルアルバム
「Paint Like a Child」

Home Ground 限定盤 10,450円
初回限定盤 5,280円
通常盤 3,300円


3月22日(水)リリース

秦基博

1980年生まれ。2006年11月シングル「シンクロ」でデビュー。“鋼と硝子で出来た声”と称される歌声と叙情性豊かなソングライティングで注目を集める一方、多彩なライブ活動を展開。2014年、 映画『STAND BY ME ドラえもん』主題歌「ひまわりの約束」が大ヒット、その後も数々の映画、CM、TV番組のテーマ曲を担当。3月22日には約3年ぶりとなる7thアルバム「Paint Like a Child」をリリースする。

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