できない理由を探すのではなく、挑戦する理由を常に模索する【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

7歳の頃からタレント活動を始め、今や女優として確固たる地位を築き上げた、エリザベス・モス。

女優業だけにとどまらず、監督・プロデューサーとしても活動する彼女の、「女性という理由だけで仕事の幅を狭くしたくない」と語る強い想いから学びたい。

映画「ネクスト・ゴール・ウィンズ」エリザベス・モス

2001年に行われたサッカーワールドカップのオセアニア予選で、アメリカ領サモアの代表チームはオーストラリア代表と戦い0ー31という記録的な惨敗を喫してしまい、それ以降世界最弱のサッカー代表チームとしてFIFAランキングでも最下位が定位置となりました。

2014年のW杯予選では長年の汚名を晴らすべく、とにかく国際試合で1ゴールを決めることを目標にしていたチームを立て直すために、アメリカ・サッカー協会は、選手そして監督としても活躍してきたトーマス・ロンゲン(マイケル・ファスベンダー)を派遣します。

しかし、彼はプライベートでのトラブルを抱えていて感情の制御が効かなくなっていたのです。

果たしてトーマスはチームをひとつにまとめることができるのか? そして念願だったW杯予選で得点するという目標は達成されるのか?

実話に着想を得た本作は『タイタンズを忘れない』、『クール・ランニング』、『マネーボール』のような、弱小チームがコーチの指導によって強くなっていくという映画でもありますが、コメディの鬼才とも称されているタイカ・ワイティティ監督の手腕により通常のスポーツ映画とは一線を画しています。

コメディアンからキャリアをスタートしたタイカ監督は物語に笑いのエッセンスを加えることに長けていて、例えば世界の映画賞を数多く受賞した『ジョジョ・ラビット』は、第二次世界大戦を舞台にドイツの少年の孤独を描きつつ、そこにユーモアを取り入れて、アカデミー賞作品賞にノミネートされました。

そして本作でもサッカーというスポーツを主題にしつつ、ジェンダー、人種問題、家族の在り方などをさらりと脚本にしのばせながら、彼独自の笑いをまぶしたエンターテインメント作品に昇華させているのです。

個性が強い選手たちがトーマスの指導を受けてチームのために自己犠牲を払う姿勢に目頭が熱くなる、人生の応援ムービー『ネクスト・ゴール・ウィンズ』を是非劇場で体験してみてください。

そして、本作の主人公トーマスの妻ゲイルを演じたエリザベス・モスは、レコード会社社長の父親とミュージシャンの母親の元、ロサンゼルスで生まれました。

7歳の頃からタレント活動を始めてテレビやコマーシャルなどへの出演を経て、ドラマ「ザ・ホワイトハウス」に出演。

そして映画『17歳のカルテ』でウィノナ・ライダーやアンジェリーナ・ジョリーと共演して話題を呼びます。彼女のキャリアを大きく躍進させた作品が数々のドラマ賞に輝いた「マッドメン」で、彼女は広告会社で出世していくペギーを演じてエミー賞の主演女優賞にノミネートされます。

その後も『噂のモーガン夫妻』、『オン・ザ・ロード』、『ハイ・ライズ』、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』などに出演して着実に女優としての地位を固めますが、彼女を世界的なAクラスセレブに押し上げた作品といえば、ドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」です。

主役のジューン・オズボーンを演じた彼女はそれまで7回ノミネートされていたエミー賞で、遂に初の主演女優賞を受賞したのです。

その後も『さらば愛しきアウトロー』、『アス』、『透明人間』などの話題作に出演。映画やテレビドラマで活躍を続けています。

また、エリザベス・モスは女優業だけでなく「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」や『シャイニング・ガール』で監督・プロデューサーとしても活動しているのですが、彼女はインタビューで、「男性優位なハリウッドの撮影現場で女性が指揮(監督業)を取ることは、昔はとても珍しいことだった。

しかし時代は変わったのよ」と、女性の自立というテーマを何度も語っています。

女性という理由だけで仕事の幅を狭くしたくないと語るエリザベス・モスは、できない理由を探すのではなく、挑戦する理由を常に模索しているのです。

ネクスト・ゴール・ウィンズ

監督・脚本・製作/タイカ・ワイティティ

出演/マイケル・ファスベンダー、オスカー・ナイトリー、エリザベス・モス 他


公開/2月23日(金・祝) 

TOHOシネマズ 日比谷 他

Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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