一つひとつの公演をより大切に演じていきたい【崎山つばさ】

水野美紀さんが主宰する演劇ユニット《プロペラ犬》の、6年ぶりとなる、第8回公演『僕だけが正常な世界』が上演される。

作品ごとに新たなチャレンジを重ね、高い評価を得てきた水野さん自らが作・演出を手がける舞台で、主人公のミチルを演じるのは、崎山つばささん。

ミチルは他人の表情から気持ちを読み取ることができず、ずっと生きづらさを抱えていた。そして、自分の居場所を探す旅に出るのだが…。

「ミチルは物語の中で殺人を犯してしまうのですが、こういう重いバックグラウンドを持つ役を今まで演じたことがなかったので魅力的に感じましたし、難しい役ですけど挑戦してみたいと思いました。ダークファンタジーの中にリアルな部分も潜んでいて、プロットを読んでいる時点でその世界観にどんどん引き込まれていきました。

水野さんは、役者としてシリアスからコメディまで幅広いお芝居ができるだけでなく、脚本・演出も手がける多才な方。ご一緒できてとても嬉しく思いますし、どんな舞台になるのか楽しみです」

コロナ禍でいつ中止になるかわからないという状況の中、稽古から千秋楽まで走り抜けるのは大変なこと。このご時世だからこそ、一つひとつの公演をより大切にしていきたいと語る。

「この舞台を今やることの意味が必ずあると思いますし、舞台を観にきてくれた方には、何かを感じ取っていただきたいです。一人でも多くの方にプラスに捉えてもらえる時間になったらいいなと思います。単純に作品を観てもらうだけの時代ではなくなっていると、僕自身は感じています。

舞台は座組みで作り上げていきますが、やっぱりお客さんが入って初めて完成するものだと思っていて。お客さんの空気感や熱、息づかいなどが毎日違って、それによって作品の空気感が変わっていくこともあります。

演者のちょっとした仕草やセリフの言い回しなど、緻密に作られているからこそ色々と考察できる余地も生まれると思うので、舞台ならではのライブ感を楽しんでもらえたら嬉しいです。

大切な時間を観劇に使ってもらえるのは役者としてすごくありがたいですし、とても幸せなこと。この作品を観ている時間は、今年一年色々あったことを忘れて、没頭してもらえるような時間にしたいと思っています」

2022年は、映画、ドラマ、舞台と多方面で活躍された崎山さん。中でも3月に上演された鈴木おさむさん作・演出の舞台『怖い絵』の現場は、刺激的な日々だったと振り返る。

「あの2ヶ月間は、毎日ボディーブローのように刺激を受けながら、勉強をさせてもらった日々でした。まだまだ未熟な部分が多く、もっともっと頑張らないといけないなと感じる一方で、充実もしていましたし、そういう気持ちになれたことを大切にしたいです。今年出会ったすべての方に感謝しながら、出会いから得たものを来年につなげたいと思います」

多忙な中でのリフレッシュ方法は料理だという崎山さん。料理の魅力は?

「普段生活していると頭のどこかで役や仕事のことを考えてしまうのですが、料理をしている時は料理だけに集中できるので、ストレス発散というかリフレッシュになっているのだと思います。野菜と肉を切って炒めるだけでも立派な料理になるし、楽しみながらやっています。

以前、役作りで体重を増やすとなった時などは、とにかく食べ続けたりしていたので、2023年は健康診断で引っかからないことを目標に(笑)、バランスの良い食生活でしっかり自己管理をしたいです」

崎山つばさ

1989年11月3日生まれ。千葉県出身。2014年に俳優デビュー。ミュージカル『刀剣乱舞』の石切丸役に抜擢され第69回NHK紅白歌合戦に出演し話題となる。近年の出演作は、WOWOW連続ドラマ「薄桜鬼」、舞台『幽☆遊☆白書』、映画『パティシエさんとお嬢さん』、『科捜研の女』『遺留捜査』などがある。11月から連続ドラマ「デブとラブと過ちと!」に出演。

『僕だけが正常な世界』

作・演出/水野美紀(プロペラ犬)
出演/崎山つばさ、鳥越裕貴、安里勇哉、定本楓馬、浅野千鶴、入手杏奈、竹内真里、福澤重文、宮下貴浩、水野美紀、ノゾエ征爾
公演/12月16日(金)〜25日(日)
会場/東京芸術劇場 シアターウエスト(豊島区西池袋1-8-1)

©プロペラ犬

PHOTO / Isamu Ebisawa
STYLING / MASAYA
HAIR&MAKE / Shinnichi Omoshita (FACCIA) TEXT / Yukari Tanaka

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