難しいことではあるけれど、自己主張が身を守る鎧となる【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

9歳の時に子役としてキャリアをスタートさせたシアーシャ・ローナン。

誰もが羨む華麗なキャリアを積み、順風満帆な女優活動を続けてきた彼女も、ショウビズの世界での男性優位な状況に違和感を覚えつつ、長年ストレスに苦しんでいたことも。

「ただ私は自信のある人間だ」と、自分の強さを声高にアピールすることで、自分を守る鎧を纏った彼女の言葉に学びたい。

映画「おくびょう鳥が歌うほうへ」
シアーシャ・ローナン

ロンドンの大学院で生物学を学んでいた29歳のロナ(シアーシャ・ローナン)は、10年ぶりに地元のスコットランド・オークニー諸島に帰郷しました。

彼女は恋人との別離、暴力的な体験、アルコール依存などの影響で精神的にも肉体的にも疲弊してしまい、依存症の治療施設に入所して90日間のリハビリプログラムを経て、断酒生活を開始していたのです。

そんなロナは故郷の野鳥保護団体で働きながら孤独な時間を過ごすなかで、少しずつ自らの内面と対話を重ねていくのですが…。

世界各国でベストセラーとなったエイミー・リプトロットのノンフィクション「THE OUTRUN」を原作として、ドイツ出身のノラ・フィングシャイト監督が映画化した本作は、都会で生活を始めた一人の女性の人生の転落と再生を描いています。

ロナは大学で知り合った友人や恋人と充実した日々を送っていましたが、次第に人生のバランスを崩してダークサイドに落ちてしまいます。ちなみに国は関係なく、毎年多くの人々が進学や就職で上京して場に馴染もうとしますが、様々な問題が生じて適応できず、そこから離脱(ドロップアウト)する人も少なくありません。

ロナは夜な夜なクラブで酒を浴びるように飲み、無秩序な行動を繰り返しながら、日常と非日常を行き来します。誰もが若気の至りという通過儀礼を経て大人になっていくものですが、彼女は深い闇から抜け出せなくなり、周りの人々が未来を見据えて行動しているのに、自分だけその場から身動きが取れなくなります。

夏の夜に誰もいない学校に友達たちと忍び込み、月の明かりを浴びながらプールで泳ぐのがひと時の青春だとしても、そんな日々は長くは続かないのです。

野鳥保護団体での仕事に少しづつ慣れ、地元の自然に身を置き、病気を抱える父親との交流を経て、ロナは次第に見失っていた自分を取り戻します。一人の女性の人生謳歌でもある本作を、是非劇場で体験してみてください。

そして、本作で主演を務めるシアーシャ・ローナンは、アメリカ・ニューヨークで生まれ、3歳の時に両親の故郷であるアイルランドに移住します。

そして俳優である父親の影響もあり、9歳の時に子役としてキャリアをスタートするのです。彼女はアイルランドのテレビドラマへの出演を経て、2007年公開の映画『つぐない』で13歳という若さでアカデミー賞助演女優賞にノミネートされます。

そして15歳になるとピーター・ジャクソン監督作『ラブリーボーン』の主役に抜擢され、多くの映画賞を受賞。その後『ブルックリン』に主演して高い評価を得ます。

その後、ブロードウェイ・デビューを経て、グレタ・ガーウィグ監督と出逢い、『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語』に主演。

そんなシアーシャは、ジェニファー・ローレンスに続いて史上2番目に若い、アカデミー賞に4度ノミネートされた女優となります。

そしてプライベートでは『メアリー・クイーン・オブ・スコッツ』 の撮影で出逢い、長年交際していたイギリス人俳優のジャック・ロウデンと2024年に結婚して2025年に第一子を授かりました。

誰もが羨む華麗なキャリアを積み、順風満帆な女優活動を続けているシアーシャ・ローナンですが、マスコミからのジェンダー格差に長年に渡ってストレスを感じていたとインタビューで答えています。

ショウビズの世界での男性優位な状況に違和感を覚えつつ、彼女はそんな風潮を覆すように「ただ私は自信のある人間だ」と答えています。

全ての女性が彼女のように、自分の強さを声高にアピールするのは難しいかもしれませんが、現代をサバイブするためには自己主張が身を守る鎧となるのです。

おくびょう鳥が歌うほうへ

監督/ノラ・フィングシャイト
出演/シアーシャ・ローナン、パーパ・エッシードゥ、ナビル・エルーアハビ、イーズカ・ホイル 、ローレン・ライル、サスキア・リーヴス、スティーヴン・ディレイン 他
公開/1月9日(金) 新宿ピカデリー 他

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Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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