他人との衝突を恐れずに自分の思いを主張する勇気【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

“ハリウッドで最も強い女優”と呼ばれるスカーレット・ヨハンソン。

話題作への出演が続き、全てが順調に見える彼女にも、過去には辛い時期も…。

様々な逆境を跳ね除け、他人との衝突を恐れずに自分の思いを主張する姿勢を学びたい。

映画「アステロイド・シティ」スカーレット・ヨハンソン

舞台は1955年のアメリカ南西部の砂漠街アステロイド・シティ。この人口わずか87人の街は過去に空から隕石が落下してできた巨大なクレーターが存在することで有名な観光地でした。

隕石の落下日であるアステロイド・デイを祝うために宇宙科学賞を受賞した5人の天才的な子供とその家族が街に招待されるのですが、アステロイド・デイの授賞式が始まると、途中で大事件が起こり街が封鎖され人々は混乱。

子供たちは街で起こっている衝撃的な事実を外部へ伝えようとするのですが…。

ここ数年、映画情報を雑誌やネットで見ていて何度か“ウェス・ワールド”という言葉を目にしました。

この“ウェス・ワールド”とは、本作の監督ウェス・アンダーソンが描く世界観のことで、彼の独自性溢れるパステル映像やシンメトリーな造形物などのことを指し、最近ではSNSでウェス・ワールド的写真が次々とポストされる現象も起こりました(ネットでの盛り上がりを監督自身はあまり楽しんではいなかったようですが)。

自分の身を捧げたくなるようなターコイズ・ブルーの空や、夢の国を思わせるパステルカラーの街などの映像美もさることながら、電話のシーンでは映像がスプリット・スクリーンとなって左右対称になるなど、ウェス・アンダーソン監督らしい演出に唸りました。

そんな“ウェス・ワールド”全開の本作ですが、実は二つの世界が提示される物語で、アステロイド・シティで起こる事件と、その事件を描いた新作劇「アステロイド・シティ」の創作過程が、ハイカラー映像とモノクロ映像で分けられています。

ひとつの事件をきっかけに街で出会った人物たちの人生が巧みに交差する、映画『アステロイド・シティ』を是非劇場で体験してみてください。

本作出演のスカーレット・ヨハンソンは、アメリカ・ニューヨークで生まれました(スカーレットという名は『風と共に去りぬ』のヒロイン、スカーレット・オハラから命名)。

母親が映画のプロデューサーだったことから、スカーレットは幼い頃から演劇教室に通い、8歳の時に舞台デビュー。10歳になると『ノース 小さな旅人』で映画デビューを果たします。

その後『のら猫の日記』や『ゴーストワールド』出演で評価され、ロバート・レッドフォード監督の『モンタナの風に抱かれて』で女優として世間に名を馳せます。

その後も『ロスト・イン・トランスレーション』、『真珠の耳飾りの少女』、『ママの遺したラヴソング』、『マッチポイント』などで世界の映画賞を受賞。

そして、マーベル・ムービー『アイアンマン2』、『アベンジャーズ』に出演したことで、Aクラスセレブとなりました。

その後は『her/世界でひとつの彼女』、『マリッジ・ストーリー』、『ジョジョ・ラビット』、『ブラック・ウィドウ』出演でも高く評価され、女優としてのキャリアハイを継続中です。

しかし、全てが順調に見えるスカーレットも、実は辛い時期もありました。

幼少期に両親が離婚してから、一時期は食事もままならないほどの貧困生活を過ごし、若い頃はセクシャルな女優というレッテルに悩み、映画『アイランド』の興行不振が彼女のせいにされ、映画『ブラック・ダリア』では、ミスキャストだと酷評を受けます。

さらに、プライベートでは2度の離婚を経験し、iPhoneのハッキングを受けヌード写真が流出しました。

しかし、スカーレットは逆境を跳ね除け、いまや“ハリウッドで最も強い女優”というポジションを得ています。

彼女は積極的な政治的発言や中絶推進団体を支持しつつチャリティー活動を行い、主演映画の公開方法などを巡り世界最大のスタジオ・ウォルト・ディズニー社を提訴したのです(現在は和解)。

他人との衝突を恐れずに自分の思いを主張し続ける女優スカーレット・ヨハンソンの姿勢は、他人の目を意識しすぎる人へのお手本となるはずです。

アステロイド・シティ

監督/ウェス・アンダーソン
出演/ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、
トム・ハンクス、ジェフリー・ライト、ティルダ・スウィントン 他

公開/9月1日(金) TOHOシネマズ シャンテ、渋谷 ホワイトシネクイント 他
©2022 Pop. 87 Productions LLC

Written by

コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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