嫌われる覚悟で望んだ藍里役。表現方法は違うけれど、目標のために突っ走るとこはちょっと似ているかも【吉本実憂】

金曜ドラマDEEP枠で放送されたドラマ『消せない「私」 –復讐の連鎖–』。

高校生時代にいじめに遭い、人生を台無しにされたヒロインが、数年の時を経て復讐を遂げるストーリーだ。その中でもいじめを先導し、1番に復讐された海崎藍里を演じるのが吉本さん。

悪女を演じた心境やドラマの見どころを聞くとともに、文化大使を務める故郷、北九州のお話を伺った。

─── ドラマを見た人たちが“絶対近くにいて欲しくない女”と、口を揃えて言うのが吉本さん演じる海崎藍里。それをそのまま伝えると「それは嬉しいです!」と笑ってくれた。

これまでも何度か悪女を演じさせていただきましたが、彼女たちにはどこか寄り添える部分がありました。

でも、今回の藍里ちゃんにはそれがなく、大人になっても性格が悪いまま罪の意識が全然ない。これは絶対嫌われるなと覚悟しました(笑)。

いや、むしろ嫌われてやるくらいの気持ちで臨んだので、そう思ってもらえたのは本望です。

───「でも、実際はもっと嫌われるかと思ったのに…」と吉本さんは続ける。

意外とSNSなどのコメントを拝見すると、藍里ちゃんを擁護してくれる方が多くて驚きました。

毒親に育てられたという過去を持つ彼女の心情を汲み取ってくれる方が多くて、私よりも観てくださる方の方が藍里ちゃんに寄り添ってくれたのが嬉しかったです。

藍里ちゃんはハイスペックな男性と結婚するためなら周囲に何を言われようと気にせず突き進む女の子。

ある意味素直で目標に向かって一直線なところは、ちょっと私と似てるかもしれないですね。もちろん、表現方法は全然違いますけど。

─── 藍里を演じるためにダイエットをしたという吉本さん。その方法を教えてもらうと。

私、コーラが大好きで、夜ご飯のときは絶対飲みたいんです。

それだけは我慢できないから、食事の方を制限して夜はお鍋やお魚などヘルシーなおかずをメインにご飯の量を減らしました。

ゆっくりと2ヶ月くらい時間をかけて体重を落としたので無理はなかったのですが、お腹が空いて耐えられないときは、キャベツでお腹を膨らませたり。コーラだけは絶対にやめられませんでした(笑)。

─── TVer、huluでの配信で、一気観を楽しみにしている視聴者のために、改めて見どころを伺うと。

主人公の復讐がどんな形で幕を下ろすのかを見届けて欲しいです。復讐された藍里ちゃんもまだ生きていますし、だいぶ図太いと思うので…(笑)。

そして、改めて現代でも広がっている“デジタルタトゥー”という問題にも目を向けてもらえたら。

これまで藍里ちゃんのようになんの罪悪感も感じずに生きてきた人たちがいたとしたら、少しでも生き方を見直そうと思ってもらえたら嬉しいです。

─── 吉本さんといえば、故郷である北九州市の文化大使としても活躍中。今年の1月には、今後の活動が期待される北九州市ゆかりの人に贈られる「市民文化奨励賞」を受賞したことも話題に。

受賞の知らせを聞いたときはびっくりしました。とても嬉しかったです。

私、地元が大好きなんです。大好き過ぎて、お仕事で地元に帰れるのがすごく幸せなんですが、先日も「市民文化奨励賞」の授賞式に参列させていただいたときに、楽屋の壁に私の似顔絵とともに“おかえりなさい”って張り紙がしてあって。

その絵は、ドラマの藍里ちゃんがウェディングドレスを着てる姿で、ドラマも観てくださってたんだと思ったらものすごく愛されていることを実感して、改めて地元の大切さを実感しました。

いつも帰るたびに恩返しをしたいと思っているのに、幸せな気持ちが倍以上になって帰ってくるんです。

そんな大好きな地元で、奨励賞という希望ある賞をいただけて本当に光栄なので、これからももっと北九州を盛り上げるために私自身の仕事を活かしていきたいと思っています。

─── 今後の目標を伺うと「一緒に作品を作りたい監督がたくさんいる」とのお答えが。

この監督の頭の中や世界観をのぞいてみたいと思う方がたくさんいるんです。その方達と一緒に作品を作るのが大きな夢です。

なので、今はその監督たちの目に止まるように、目の前のお仕事一つひとつに一生懸命取り組みたいと思っています。

『消せない「私」 −復讐の連鎖−』

原作/黒田しのぶ『消せない「私」 ~炎上しつづけるデジタルタトゥー~』(ぶんか社)
脚本/烏丸棗
演出/中茎強、岡本充史、田原秀雄
出演/志田彩良、本郷奏多、吉本実憂、片山友希、小日向ゆか、芳村宗治郎、阿佐辰美/柄本時生

TVer、huluにて配信中

©日本テレビ

吉本実憂

1996年生まれ。2012年、第13回全日本国民的美少女コンテストにてグランプリを受賞し芸能界入り。2014年にはNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に栄姫役で出演。2014年『ゆめはるか』では、初の映画出演で初主演。翌2015年の『罪の余白』、2018年『レディ in ホワイト』でもヒロインを演じ話題に。2021年には『第30回日本映画批評家大賞』新人女優賞を受賞。また、地元北九州市の文化大使としても活躍中。2025年1月17日公開予定の映画「室町無頼」の出演も発表された。

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