批判されることより、挑戦を選んだ先に今がある【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】

8歳のときにTVコマーシャルでデビューし、数々のブラジル映画に出演。

2006年の「ブレンダン・フレイザー 復讐街」でハリウッド進出を果たしたアリシー・ブラガ。

物語のヒロインから汚れ役まで、批判されることより挑戦を選ぶ彼女の生き方に学びたい。

映画「ドミノ」アリシー・ブラガ

刑事であるダニー・ローク(ベン・アフレック)の最愛の一人娘・ミニーが公園で行方不明となり、警察の懸命な捜査の末に誘拐犯が逮捕されます。

しかし彼は自分がミニーを連れ去ったことなど全ての記憶がないと供述するのです。

娘の安否を心配するダニーですが、ある日相棒のニックと貸金庫を狙った銀行強盗が計画されているという匿名の通報を受け現場に向かいます。

すると銀行の近くで“怪しげな男”(ウィリアム・フィクナー)を発見。その男より先に銀行に潜入したダニーが貸金庫を開けると、そこには娘ミニーの写真が保管されていました。

銀行前に居た“怪しげな男”が娘の誘拐に関与していると察知したダニーは2人の警官を伴ってその男を追い詰めます。

しかし警官たちは突然暗示をかけられ、お互いを銃で撃ち殺すのです。

ダニーは銀行強盗計画の通報者であるダイアナ(アリシー・ブラガ)の協力を得て、娘を取り戻そうとするのですが…。

本作『ドミノ』の原題は、『HYPNOTIC』。

このHYPNOTIC(ヒプノティック)とは“催眠”という意味で、比喩的には人の注意を引き付け魅了するという意味なのですが、本作に登場する“怪しげな男”は、ヒプノティックで人を自由自在に操り警察に追い詰められたとしても容易くその包囲網から抜け出します。

「冒頭5秒、既に騙されている。」という公式キャッチコピーはこの作品の本質を捉えていて、観客が多重構造の物語の先を予想したとしても簡単に覆されるのです。

ロバート・ロドリゲス監督が20年前から構想を始めたこの物語は、自分の人生を自らの判断で決められる幸福と、生き続ける上で絶対に守らなければいけないものを描いていて、テーマはとても普遍的ではありますが革新的な映像と、心地よく裏切られる脚本は唯一無二です。

築き上げられたドミノが倒されるように、それまで観てきた世界観がリセットされてしまう映画『ドミノ』を是非劇場で体験してみてください。

そして、本作で主役の刑事・ダニーをサポートする謎の占い師を演じているアリシー・ブラガは、女優のアンナ・ブラガ(母)とソニア・ブラガ(叔母)の元、1983年にブラジル・サンパウロで生まれました。

8歳の頃に芸能界デビューして、TVコマーシャルやブラジル映画に出演しましたが、そんな彼女の人生を変えた作品がフェルナンド・メイレレス監督作『シティ・オブ・ゴッド』です。

世界的に注目された本作はアカデミー賞で4部門にノミネートされましたが、この作品に出演したアリシーは、アメリカの有名プロデューサーの目に留まり『ブレンダン・フレイザー 復讐街』でハリウッドデビューを果たします。

その後、ウィル・スミス主演『アイ・アム・レジェンド』、『ブラインドネス』、『正義のゆくえ I.C.E. 特別捜査官』、『プレデターズ』、『レポゼッション・メン』、『エリジウム』に出演。

最近では『XーMEN』のスピンオフ作『ニュー・ミュータント』や『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』などのビッグバジェット・ムービーにも出演しています。

ハリウッドで活躍する女優の中には、自分のイメージを損なう可能性のある役柄をオファーされてもキャンセルする人が少なからずいます。

理由はいくつかありますが、それまで培ってきた自身のキャラクターを変化させることで、観客や批評家から批判されることを恐れるのです。

しかしアリシー・ブラガは他の女優が断った役柄でも(物語のヒロインから汚れ役まで)進んで演じて女優としての幅を広げてきました。

批判されることより挑戦を選んだからこそ、現在のアリシー・ブラガはハリウッドで活躍できているのです。

人は往々にして自分のことを決めつけてしまう傾向があります。しかしその思い込みは己の可能性を狭めているのです。

アリシーのように様々な役に挑戦する生き方に、私たちが学ぶべきことは多いはずです。

ドミノ

監督/ロバート・ロドリゲス

脚本/ロバート・ロドリゲス、マックス・ボレンスタイン
出演/ベン・アフレック、アリシー・ブラガ 他

公開/10月27日(金)より、全国ロードショー

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Written by

コトブキツカサ(映画パーソナリティー)

Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。

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