悲観せずポジティブに生きることが幸せへの近道【ハリウッド女優に学ぶ“オンナの生き方”】
幼い頃から女優に憧れていながら、吃音症に悩まされていた過去を持つ女優、エミリー・ブラント。
学校の先生から“何かを演じてみる”ことを提案され、実践して悩みが改善されたことがきっかけで
諦めずに女優を目指すようになった彼女から、明るくポジティブに生きることの大切さを学びたい。
映画「オッペンハイマー」エミリー・ブラント
1926年、ハーバード大学を首席で卒業したオッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、イギリスのケンブリッジ大学やドイツのゲッティンゲン大学に留学して理論物理学者の道に進みます。
そして博士号を取得してアメリカに戻り、カリフォルニア大学で教鞭を取りつつ核分裂を応用した原子爆弾の研究をしていました。
そして第二次世界大戦が始まるとアメリカ軍から招集されナチス・ドイツに対抗するべく原爆を開発するための極秘プロジェクト「マンハッタン計画」のリーダーに任命され、その後ナチス・ドイツの降伏後も原爆開発は続き、人類史上初の核実験「トリニティ」が成功。
そして、その原爆が広島・長崎に投下されたのです。
原爆の父と呼ばれ、多くのアメリカ兵の命を救った国の英雄として称賛されたオッペンハイマーですが、本人は降伏間近だった日本への原爆投下によって多くの犠牲者が出たことに苦悩していたのです。
本作『オッペンハイマー』は、今年の最重要作品であることは間違いなく、これまで数多くの映画賞を受賞していて、第96回アカデミー賞では最多13部門にノミネートされ、現段階で1500億円を超える興行収入をあげています。
しかし、被爆国の日本としては非常にデリケートな内容と捉える人が出てくる可能性や、鑑賞者の一部でハレーションが起こることを危惧する意見もあり、クリストファー・ノーラン監督の最新作であり世界の映画賞を総なめにしている『オッペンハイマー』が日本公開未定という時期が長く続いたのです。
そして、世界的に大ヒットした『バービー』とコラボしたインターネット・ミーム(ネット上で話題になった文章や画像、動画)の拡散が批判の対象となるなどの紆余曲折を経て、関係者の尽力もあり劇場公開が決定されたのです。
この作品の批評を細かくするには誌面が足りませんが、最も大事なことをお伝えするならば、本作は決して原爆を肯定する映画ではないということ。
この物語は、主人公オッペンハイマーの科学者としての熱意と原爆を製造してしまった後悔と苦悩が描かれているのです。
今年最大の話題作『オッペンハイマー』を是非劇場で体験してみてください。
そして本作の主人公オッペンハイマーの妻であるキャサリンを演じた、エミリー・ブラントは、イギリス・ロンドンで弁護士の父親と元女優で演劇講師の母親の元に生まれました。
彼女は幼い頃から女優に憧れていて、18歳で舞台デビュー(ジュディ・デンチと共演)、『ウォリアークイーン』で映画デビュー、『マイ・サマー・オブ・ラブ』で、映画初主演を果たしました。
その後、数本の映画に出演したのちに『プラダを着た悪魔』への出演でハリウッドに進出したのです。
同作品でのエミリーの演技は絶賛され、ゴールデングローブ賞で助演女優賞にノミネートされ、その後も数々の映画への出演を経て『ヴィクトリア女王 世紀の愛』では主役のヴィクトリア女王を演じ『オール・ユー・ニード・イズ・キル』では、ヒロインとしてトム・クルーズの相手役を演じてハリウッドでの地位を確立しました。
非常に明るい性格で、マスコミのインタビューにも積極的に対応するエミリーですが、実は10歳の頃から吃音症に悩み治療しても治らず、12歳の頃には人と話すことを諦めてしまうほど苦悩したそうです。
しかし、学校の先生から違った声色で話してみたり、何かの役を演じてみることを勧められて実践したところ吃音が改善され、その体験がきっかけで女優を目指すようになったそうです。
世の中には完璧な人間などいません。多くの人が何かしらの問題を抱えながらコンプレックスと共に生きています。
しかし悲観するだけでなく信頼のおける人の声に耳を傾けて前向きに生きていれば、エミリーのようにその困難を克服する日が訪れるはず。
ポジティブに生きることが幸せへの近道なのです。
オッペンハイマー
監督・脚本・製作/クリストファー・ノーラン 出演/キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー 他 公開/3月29日(金) TOHOシネマズ 日比谷 他 ©Universal Pictures. All Rights Reserved
Written by コトブキツカサ(映画パーソナリティー)
Profile/1973年生まれ。小学生の頃からひとりで映画館に通うほどの映画好き。現在、年間500本の映画を鑑賞し、すでに累計10,000作品を突破。1995年より芸人時代を経て、2010年より「映画パーソナリティー」としての活動を開始。近年は、俳優としての顔ももち、ドラマや映画にも出演。活動の場を広げている。