美しいアートのような『ウツボラ』に世界観にどっぷり浸ってほしい【前田敦子】

中村明日美子原作の連続ドラマ『ウツボラ』がWOWOWにて、3月より放送・配信される。

連載当時から先の読めないミステリアスな展開とエロティックな描写が話題となった作品で、完結後も読者による考察が繰り広げられるなどカルト的な人気を誇る傑作漫画だ。

実写化された『ウツボラ』で、美しくミステリアスな双子役に一人二役で挑んだ前田敦子さんにお話を伺った。

2008年に発表されて以来、今でも人気が色褪せることのない『ウツボラ』。

ある日、謎の死を遂げた美しい女性「朱」と、彼女と入れ替わるように「朱」の双子の妹と名乗る「桜」が人気作家の溝呂木の前に現れる。実は溝呂木は「朱」の書いた小説『ウツボラ』を盗用していたのだった…。

元の原稿を持つ「桜」からある提案を持ちかけられたことをきっかけに、深い闇へと追い詰められて行く溝呂木。

そもそも死んだのは本当に「朱」なのだろうか? 果たして事件の真相とは…? 幾重にも張り巡らされた謎と官能的な描写で映像化は難しいと言われていたこの作品。

まずは主演を演じることになった心境から伺った。

「『ウツボラ』は、絵がありきの世界観が確立されている作品だと思っていましたが、脚本がとても忠実に再現されていて、絵がなくても漫画通りの理解しやすいものになっていました。

なので、演じるにあたり不安はありませんでした。作品にそのまま色をのせたような美しい世界観をお見せできると思います」

一人二役を演じるのは難しかったのではないだろうか?

「読者として物語を追っていくと確かに難しいと思います。でも、私は自分が今「朱」と「桜」のどちらを演じているかが明確でしたし、自分が表現しながら世界観を体感できたのでパズルがきれいにハマっていくような感じでした。

原作を読んだ時にはわからなかったことがストンと腑に落ちる感じで、ウツボラのいちファンとして嬉しかったです。これはきっと一人二役を演じた私だけの特権かもしれません(笑)」

官能的なシーンも多かった溝呂木役の北村有起哉さんとの共演について伺うと、「はじめましてが『ウツボラ』で本当によかったです!」と前田さんが笑った。

「この作品の後、舞台で有起哉さんとご一緒したんです。有起哉さんは楽しくて面白い方で、お友達のように接してくださる優しい先輩。今では“ゆっきー”と呼んでいるくらい仲良しなので、今の関係だと『ウツボラ』は逆にやりづらくて仕方なかったと思います(笑)。

『ウツボラ』の撮影のときはあまり二人で仲良くなるスタンスをとっていなかったので、寡黙な有起哉さんのイメージを持ったまま共演できました。出会いの順番が逆じゃなくて本当に良かったです」

「有起哉さんにとっても初めての挑戦だったんじゃないかな」と前田さんは続ける。

「有起哉さんも今回のようなしっかり女性と向き合う役はあまりなかったようなので、難しい挑戦だったようです。有起哉さんの役も抱えているものが大きいけれど、演じているときは楽しそうだったのが印象的です。きっと有起哉さんの新しい一面が見られると思います」

撮影現場は一人きりのシーンも多く、時間との戦いもあり、真剣勝負の連続だったそう。

「孤独な現場が多かったので、演者さんたちとの面白いエピソードを聞かれると一個もないです(笑)。でも撮影した蒲郡市と幸田町がとても素敵な場所で、そこにいるだけで癒されました。

それにお魚がとっても美味しいんです! 私は地方に行くと地元のスーパーで美味しいものを見つけて食べるのがリフレッシュ法なのですが、今回はお刺身をいっぱい食べました。お刺身なら罪悪感なくいっぱい食べられますし(笑)」

やはりそのスラリとしたスタイルをキープするには食生活にも気をつけているのかと思いきや…。

「でも、蒲郡には“あんまき”という銘菓が存在するんですね。これが本当に美味しい上に、ケータリングでたくさん用意してもらえちゃうんです。もちろん誘惑に勝てるわけがなく何度も負けました(笑)。

なので1日1食は贅沢をして、他はお刺身やトマト、フルーツで調整を。でも頭を使えば使うほど太らないと思っているので、メリハリをつけて甘やかしてました(笑)」

最後に『ウツボラ』の見所を伺うと。

「原作2冊分をしっかりと映像化できていますし、映像の美しさも素晴らしいので、原作ファンの方も安心して楽しんでもらえると思います。

ボソボソとしゃべるトーンや、空気感など、地上波ではなかなか表せない部分もWOWOWという作品にこだわった場所だからこそ、忠実に再現できたと思っています。

ぜひイヤフォンを付けてじっくりと『ウツボラ』の世界にこもって観てほしいです」

連続ドラマW-30「ウツボラ」

原作/中村明日美子『ウツボラ』(太田出版刊)
脚本/小寺和久、井上季子 監督/原廣利
出演/前田敦子、北村有起哉 他
WOWOWにて、3月24日より放送・配信

前田敦子

1991年生まれ。アイドルグループ・AKB48の元メンバーで第1期生。2011年、映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』で初主演し、挿入歌「Flower」でソロデビュー。2012年8月、AKB48を卒業。女優として、NHK大河ドラマ『龍馬伝』をはじめ、多くのドラマに出演。映画『旅のおわり世界のはじまり』、『葬式の名人』など、主演映画も数多く、2019年には第11回TAMA映画賞 最優秀女優賞を受賞。プライベートでは1児の母。

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